【BtoB‐ECの最新トレンドは?】マネーフォワードケッサイ 岡本創部長「請求業務をデジタル化し、人材獲得、新規顧客開拓に貢献」

マネーフォワードケッサイは、請求書の発行・入金確認から与信・督促まで代行する、企業間後払い決済サービス「マネーフォワード ケッサイ」を提供している。導入することでバックオフィス業務の負担とコストの削減が可能になり、業務効率の改善を目論んで導入企業が順調に増えている。ケッサイカンパニー パートナーセールス部 岡本創部長に、BtoB-ECの最新トレンド、請求業務のデジタル化の必要性について聞いた。

――採用時に自社の強みや魅力をどう伝えるか、営業・経理人材の採用難や人材不足が経営課題になると。

ここ1、2年間で、営業や経理の人材採用が難しくなってきているとの悩みを聞くことが多くなった。3~4カ月間に渡って媒体に募集要項の掲載をしたものの、なかなかよい人材がこないという。

よく見ると同業他社も数カ月にわたって広告を出していて、採用条件には「ルート営業」や「週出社5日」「やる気次第で出世」などでの似たワードが多く、文面での差別化ができていなかった。労働人口の減少がじわじわと企業経営に影響を与えて始めており、企業の中には人材不足で倒産というケースも出てきた。

総務省の調査によると、10年後の2035年に10%の労働人口が減る想定だという。現在100人社員がいる企業が90人に減っても売上や業務を維持できるかを本気で考えなくてはならない。さらに共働きなどでも働きやすい柔軟な労働環境も必要だ。商品の受発注をFAXで行っていたり、請求書を郵送していると出社を前提とした働き方となってしまう。

こういったバックオフィス業務をデジタル化することで、「週2日出社・リモートも可」「オンラインと訪問をミックスした営業で時間を有効に」など、中途や新卒採用時に目を引ける、魅力的な労働環境にすることができる。

<「物流2024年問題」による変化>

――「物流2024年問題」で代引きや現金回収の廃止も進む。

業務用食品を取り扱う企業では、取引先である飲食店に自社トラックで商品配送していることも多い。2024年問題を背景に配送ドライバーの不足が現実になってきている中、営業・ドライバーの業務も配送だけでなく、おススメ商品の紹介、受注対応、現金の回収など業務範囲の広さが大きな負担になってきた。こうした業務の一部を止める・見直すことが必要だ。例えば当社サービスで代金回収をアウトソースし、生産性を高めることで安定した人材を確保したいというニーズは一段と高まっている。

 

また、ラーメン店やパン屋、焼肉屋など、原材料費高騰から倒産件数が増えている業種を取引先とする卸の場合、信用調査会社の評点をもとに掛け取引の判断をしていることが多く、とくに小口や新規の取引先はより慎重な判断が求められる。こういった際でも入金保証付きの当社のサービスを利用することで、リスクを減らし、気兼ねなく新規顧客開拓ができるようになったというケースも以前よりかなり増えた。

▲業務削減の図

――業務効率化だけでなく売上増への貢献など、「マネーフォワード ケッサイ」を導入した企業のさまざまな成果が出ている。

当社サービスを導入した企業では、社員の意識が社内の過多な業務をどうこなすかから、お客さまにどう価値を提供するかに向けて変化している企業も多い。

例えば、年2~4回発行するカタログやDMを廃止し、受発注と請求業務をBtoB-ECと「マネーフォワード ケッサイ」の掛け合わせでデジタル化したことで、業務時間に余裕が生まれた。結果、ECから季節ごとの商品をおススメするメルマガなどを配信することで1店舗あたりの注文単価が上がったり、新規顧客開拓に時間を割けるようになっているケースもある。

業務効率化によって生まれた時間を顧客視点でポジティブに働いてもらうことで、社員の定着率も増し、安定した成長・経営に変化していき、それがさらに採用につながるという好循環を生む。

▲画面イメージ

――BtoB-ECシステムとのデータ連携も強みだ。

「マネーフォワード ケッサイ」は「楽楽B2B」や「Bカート」など、BtoB-ECシステムともAPI連携しており、セットで導入するとさらに力を発揮する。特に「Bカート」は、専用の決済として「Bカート掛け払い powered by Money Forward Kessai」を提供しており、開始から約1年ですでに50社超の企業に利用いただいている。

また、「Bカート掛け払い」は、従来の与信保証付きプランに加え、与信保証不要な取引先に対して自社での請求に代わって利用できる「請求代行プラン」も人気だ。会計システムを持つマネーフォワードの強みを生かして、インボイス制度や電子帳簿保存法に対応していることも利用を後押ししている。

<新しい全体観「BizOps」>

――サービス導入の際、見極めるために必要な新しい全体観「BizOps」とは?

請求を含むバックオフィス業務のデジタル化を計る際の考え方も進化してきている。単サービスの導入で判断するのではなく、受発注→請求→会計などの一連のサービスが”一気通貫でデータ連携できる”かや、それに伴って新しい組織体制を引いてKPIをどう置いていくかを企画・設計・実行していく「BizOps」という考え方や役割も発現してきた。マネーフォワードにも、現場でのセールス人員・組織とは別に、プロセス設計・改善専門のBizOps組織を置いてノウハウを蓄積している。クラウド・SaaSや「マネーフォワード ケッサイ」などのアウトソースを活用することで成長を最大化するには、システムと人・組織を一体で考える必要がある。

将来、自分の会社を支えていく世代にとって働きやすい環境をどうつくるか、デジタル化で経営者が企業を前に進めていく過程を、マネーフォワード自体の知見も生かしていきながら支援していきたい。