【「PGマルチペイメントサービス」の魅力は?」GMOペイメントゲートウェイ 鈴木隆志氏「開発工数短縮で多様な決済導入を支援」

GMOペイメントゲートウェイは、クレジットカード決済やコンビニ決済などが選択できる通販・ECサイト向けオンライン総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」を提供している。システム本部 システム企画統括部 鈴木隆志統括部長に、オンライン決済業界の現状や取り組みについて聞いた。

<オンライン決済の現状>

――開発者(エンジニア)目線で見るオンライン決済の現状について聞きたい。

開発者体験の向上という視点で言えば、当社ではここ数年でさまざまな施策に取り組んでいる。これまでは決済手段の数だったり、機能性そのものが優位性につなげたりしてきた。しかし、現在で各社とも差がない状態になってきた。

特に外資系の決済企業では、開発者が使いやすい設計や、製品のブランディングそのものも含めて、使ってみたいと思わせるような仕様になっている。当社のようなオンライン総合決済サービス事業者としても、開発者が使いやすいと思ってもらえるような取り組みを進めている。

不正利用が増えている中で、業界ではいかに承認率を高めていくことに関心が高まっている。2025年3月までに原則義務化される「EMV3ーDセキュア」の動向も注視している。

<新たな接続サービス>

――新たな接続サービス「Open APIタイプ」の提供を始めた背景は?

新たなオンライン決済手段の登場に関してはピークを過ぎた印象だ。ただ、EC企業にとってはユーザーの顧客体験を踏まえて多様な決済手段に対応していく必要がある。

一方で、新たな決済手段を複数導入するには、決済手段ごとの個別な開発が必要で、費用や工数がかかる課題があった。この解決を目的に、2023年5月にオンライン総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」の接続方式を刷新し、新たな接続サービス「Open APIタイプ」の提供を始めた。

決済手段の追加コスト(日数や工数)を従来の10分の1まで短縮できるようにした。新たな接続仕様ではエンジニアの学習コスト、コーディングやテストなどの開発工数が減り、コードの保守性・再利用性の向上による品質管理プロセスの効率化などが期待される世界標準の「OpenAPI Specification」を用いて開発者の負担の軽減にも貢献している。

リリースから1年ほどが経過し、「開発工数・コスト削減と新規決済追加による新たな客層の確保につながり、大変メリットある」との声が寄せられている。

▲システム本部 システム企画統括部 統括部長 鈴木隆志氏

――クレジットカード情報非通過型決済「トークン決済」にも対応を始めた。

JavaScriptライブラリをnpmに公開し、フロントエンド開発で汎用性の高いReact・Vue.jsに対応した。「PGマルチペイメントサービス」の導入事業者は効率的にトークン決済を実装することが可能になり、エンジニアはこれまで使い慣れた言語と手法で利用できる。また、学習コストと設計工数などを抑えて実装を効率的に行うことができる。

――非エンジニアが、簡単に決済画面を設定できる「リンクタイプ Plus」に新たな機能を追加した。

導入事業者は、専門的なプログラミング知識や技術を備えることなく、自社サイトのイメージに合わせたデザインの決済画面を実装できる。また、クレジットカード情報非通過型「リダイレクト(リンク)型」のため、導入事業者はよりECサイトに適した決済画面を作成でき、クレジットカード情報の非保持化を実現できる。

ECサイトと決済画面のデザインにギャップを感じることがあると思う。それは、決済代行会社が用意する画面から選んだり、そもそも選べなかったりしていたからだ。決済画面で売り上げに影響することもあり、離脱率の低減に貢献できる。

<新しい決済方法追加>

――今年9月からは、「PGマルチペイメントサービス」の「PayPay」にSDKを用いた新しい決済方法を追加する。

「PayPay」の新しい決済方法は、ユーザーがECサイトの支払いで「PayPay」を利用する際に、PayPayアプリへ遷移せずに決済完了できるものだ。

また不正購入が増える中で、承認率の低下が懸念される。来年以降はこうした課題を解決できるツールの提供を予定している。

当社では、開発責任者目線でサービスの刷新に日々取り組んでおり、加盟店とお客さまの望むものを提供し続けることで、顧客体験の向上につなげたい。