日立製作所(日立)は8月26日、アジア通信大手のSingtel(シングテル)と、日本およびその他のアジア太平洋地域における次世代データセンターおよびGPUクラウドの構築に関する戦略的提携を結んだことを発表した。両社の知識と技術を組み合わせ、企業のAIの導入とDXを加速させる。

  • 左からSingtel Digital InfraCoビル・チャンCEO、日立製作所 德永俊昭副社長

    左からSingtel Digital InfraCoビル・チャンCEO、日立製作所 德永俊昭副社長

シングテルは、2023年にスタートアップ成長事業を推進する「Digital InfraCo」を新たに設立。Digital InfraCoは、シングテルの地域データセンター部門であるNxera(ネクゼラ)、海底ケーブル、衛星通信など、地域内でのAI導入を推進するうえでインフラとなる事業を展開している。また、2024年後半にはAI開発に欠かせないGPUをサービス型で利用できる「GPU-as-a-Service(GPUaaS)」の事業を立ち上げ、企業のAI導入の支援を強化している。

今回の協業により、両社は日本およびその他のアジア太平洋地域でデータセンターを開発する機会を調査・検討する。また日立は、シングテルのGPUaaSを社内のAIアプリケーションやAIワークロードに利用することを検討する。まず、日立社内で高性能な機械学習や生成AIなどのデジタル技術・ソリューションを強化するため、シングテルのサービスを利用する効果を検証する。そのうえで、顧客向けの電力効率の高い設計・運用方式を確立していく考えだ。

また両社は、顧客のAIシステムの開発・実装にかかる時間や管理コストを削減することを目的に、検証結果や両社の技術を活用したエンタープライズアプリケーションを共同開発することも検討するとのことだ。

日立 執行役副社長 兼 デジタルシステム&サービス統括本部長の德永俊昭氏は「シングテルの持続可能なデータセンターの開発・運用に関する専門知識と、日立グループが有するグリーン電力のソリューションからファシリティ、データマネジメント・運用までのトータルインテグレーションのケイパビリティを組み合わせる」とコメントしている。