【想定の2.4倍】カゴメの食品D2C「SOVEシリアル」が化粧品売り場で爆売れ オフライン展開で成果

調味料や健康食品などの製造、販売を行うカゴメは2022年秋、植物由来の素材をベースとした食品のブランド「SOVE(ソブ)」を始動し、第1弾商品として「SOVEシリアル」を発売した。自社のECサイトのみで販売してきたが2024年6月、渋谷スクランブルスクエアの化粧品売場にてポップアップストアを6日間開催したところ、想定の2.4倍を売り上げたという。

ブランド名「SOVE」の由来は大豆(SOY)と野菜(VEGETABLE)の頭の2文字の掛け合わせだ。キャッチコピーは「サクッと、朝から変えていく」。毎朝食べられるシリアルとして、植物性油脂や大豆などの領域に強みを持つ不二製油と共同で開発した。

▲SOVEシリアルオリジナル(左)とストロベリーブレンドの2種類を展開

<従来のカゴメ通販とは異なるアプローチ>

カゴメは1998年から健康食品の通販事業「カゴメ健康直送便」を続けているが、「SOVE」は全く異なるスキームで事業を成長させていく考えだという。

「健康直送便のメーンターゲットは50~60代。スーパーでも販売し、オフラインでも手に取りやすいようにしている。一方、『SOVE』は主に20~40代の健康意識が高い女性を狙っているため、ECサイトでの販売に特化している」(SOVE事業部担当課長 惠良正和氏)と話す。

従来のターゲット層と異なるため、「SOVE」がカゴメのブランドであることをあえて主張していない。ECサイトにはオリジナルレシピのほか、原料へのこだわりなどを掲載している。

▲サイトに掲載されたオリジナルレシピ。カゴメブランドであることをあえて主張しないサイトデザイン

<渋谷の化粧品売場でSOVEシリアルが好評だったわけ>

ECでの販売に特化していた「SOVEシリアル」が、渋谷の化粧品売場で想定以上に売れた要因は3つあるという。1つ目はターゲットが集まっている場所で開催したこと。2つ目は商品と親和性の高いインフルエンサーを起用したこと。そして、3つ目は実際に商品に触れてもらえたことだ。

渋谷の化粧品売場には美しくなることに対するモチベーションが高く、比較的上質な暮らしをしている女性たちが集まる。「SOVE」は240グラムで1296円(税込)とシリアルにしては高価格だが、商品に説得力があれば販売の余地は十分にあるとみていた。

▲パッケージだけではわからないSOVEの彩り

ポップアップストアでは、プロテイン愛好家としてテレビ出演の経歴もある、プロテインひろこ氏を起用し、植物性たんぱく質や商品の魅力を発信してもらったという。さらに実際に試食してもらい、毎日続けられそうだと感じた層が購入に至った。

▲アンバサダーのプロテインひろこ氏

「販売しているわれわれがお薦めするのではなく、その分野に精通した第三者に推してもらうことに意味がある」(同)と話す。

実際に、ECサイトにも購入者の口コミやインスタグラムの投稿など第三者の声を掲載している。

「今後は、ポップアップで成功した訴求を、いかにECサイト上で再現していくかが鍵になると思う。ターゲットの生の声を参考にして、商品づくりをしていきたい」(同)と展望を語った。