Clouderaは8月23日に、エンタープライズAIの導入における課題や障壁に関する調査結果をまとめたレポート「The State of Enterprise AI and Modern Data Architecture(エンタープライズ AI と最新のデータアーキテクチャをめぐる状況)」を発表した。企業の約90%がAIを導入するも、旧式のインフラや従業員のスキル不足で効果を十分に出せていないことが明らかになった。
この調査は、ClouderaがResearchscapeに委託し、米国、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)、およびAPAC(アジア太平洋)地域の600名のITリーダーを対象に行われた。調査では、エンタープライズAIの導入における課題や障壁、AI導入計画、データインフラの状況、ハイブリッドデータマネジメントのメリットについても質問され、88%のITリーダーがAIをある程度の規模で導入しているものの、多くの企業がAIの真のメリットを得るために必要なデータインフラや従業員のスキルをまだ整備できていないことが明らかになった。
多くの企業がAIを活用して事業運営の活性化やイノベーションの促進を図っているが、すべての組織がそのメリットを享受しているわけではなく、AI導入の最大の障壁として最も多く挙げられたのは、AIによるセキュリティやコンプライアンスに関するリスクへの懸念(74%)であった。
また、AIツールを管理するための適切なトレーニングや人材の不足(38%)やツールの高額さ(26%)も課題とされていることから、 AIの導入が急速に進んでいるにもかかわらず、弾力性のあるAI戦略の柱となる重要な要素の多くが軽視されている、あるいは忘れられているということが読み取れるとしている。
この調査では、AIに関する取り組みはデータの信頼性に依存していることが明らかになった。回答者の94%は自社のデータを信頼しているが、55%は基幹システムのデータにしかアクセスしておらず、すべてのデータにはアクセスしていない。こうしたネガティブな反応は、データセットに矛盾がある(49%)、複数のプラットフォームでデータを管理できない(36%)、データが多すぎる(35%)といった課題がにより生じており、この結果、多くの企業が信頼性の高い最新のデータアーキテクチャを確立できていない可能性が示されている。
また、AIのユースケースとしては、ITプロセスの自動化や合理化、顧客ニーズに対応するチャットボットの構築、アナリティクスを活用した意思決定の改善などが挙げられる。この調査では、特にカスタマーエクスペリエンスの向上(60%)、運用効率の改善(57%)、アナリティクス活用の促進(51%)が主流であることが明らかになった。
Clouderaの社長執行役員 大澤毅氏は、次のように述べている。「多くの企業が現在、データの品質や、データが提供されるインフラおよび、文書化の方法などに課題を抱えています。こうした状況が、本調査でも明らかになりました。AIの導入においては、データの保管場所での管理が何より重要です。つまり、データがすでに存在する場所で、コスト効率に優れたやり方でモデルを実行すべきなのです。企業は今、データをモデルに提供するのではなく、AIモデルをデータに提供することのメリットを認識し始め ています。」