【リアル展開を聞く】家具D2CのENEN、ECと実店舗で攻勢 多賀橋執行役員「10年後に売上100億円目指す」

2022年4月に自社ECサイトの開設と同時にインテリアのEC事業に参入したENEN(エネン)。家具のパーツを組み合わせて作る「モジュラー家具」のD2C家具ブランドを展開し、ECサイトを旗艦店に、実店舗も展開して攻勢を図っている。

 

ECと店舗を指揮する多賀橋光司執行役員は、「今後10年間で売上高100億円を目指す計画だ」と意気込む。

 

ECサイトを開設して1カ月後の2023年5月に初の実店舗を東京・自由が丘にオープンした。自由が丘は、インテリア企業の実店舗が多い。同社の実店舗の近隣にも競合店が並ぶ。競合が多いエリアにあえて出店し、開店から1年の動向を確認してから「手応えを感じながら次の店舗展開へ舵を切った」(多賀橋執行役員)。今年7月12日に2店舗目となる「ENEN大阪店」をオープンさせた。

 

店舗戦略の鍵を握るのはECサイトでは提供できない「体験」を来店客に訴求する点だ。商品を「見る」「触れる」に加え、「選べる」「作る」という要望にも応える。

▲壁一面に「カードクリッピング」が設置

自由が丘と大阪の店舗には壁一面に家具やインテリア用品がカードとなった「カードクリッピング」が設置されている。自由が丘店には家具やソファー、雑貨などのカードが入っているボックスが約300個、壁面に並んでいる。大阪店においては約530ボックスが壁面に並ぶ。

さらに、3Dで家具の模型を作り、模型と空間設計をリンクさせてPC上で操作できる「ミニチュア家具3Dシミュレーター」というシステムも常設。空間設計のシステムは同社が独自に開発している。インテリアに詳しくない利用者でも手軽に操作ができる。

▲「ミニチュア家具3Dシミュレーター」というシステムも常設

 

同社は、アパレルやBtoB事業などを手掛ける大西グループの1社だ。ENENを含む大西グループには8社あり、各社のアセットを生かした商品開発も強みの一つ。

 

大西グループで店舗用什器などをカタログやECサイトなどで販売する店研創意の棚や什器などはENENのアイテムにも使われている。こうした商品はデザインだけでなく、耐久性や強度など法人向けの仕様で設計されている特徴もある。

 

引き続き、ECサイトを旗艦店としつつ体験を武器に実店舗でも販売を強化していく。ECサイトにもこれからさまざまなサービスを取り入れていく計画だ。