超高齢社会の買いもの支援「KAERU」、約1.3億円を資金調達 B2B2Cで顧客基盤を拡大

超高齢社会の買いものを支援するエイジテック/フィンテックサービスを提供するKAERUは8月8日、第三者割当増資による約1.3億円の資金調達を実施した。調達した資金は、サービスの提供価値の強化、B2B2Cでの顧客基盤の拡大に活用する。

KAERUは、超高齢社会の日本において「誰もがお買いものを楽しみ続けられる世の中にする」ことを目指し、アシスタント機能・見守り機能付きの決済サービスを提供している。

高齢化は日本における大きな社会課題となっており、年齢を重ね、認知機能の低下が起きたとしても幸せに、自分らしく生活できるような社会インフラの整備は重要性を増している。

多くの人は、家族・行政・介護事業者等のサポートを受けながら生活を続けているが、支援を必要とする側の今後の需要増に対して供給にはギャップが存在し、業界・仕組みの効率化が求められている。

認知機能の低下により金銭管理に支障が出ている人も同様に周囲のサポートを必要としているが、現在は現金という媒体を前提にしているため、物理的な輸送や受け渡しのコスト、トラッキングのしにくさによる利用用途の不透明さといった問題が発生している。

KAERUは超高齢社会における買いもの支援・金銭管理支援のインフラとなり、本人が安心して買い物を通して健康で自尊心をもった生活を維持するとともに、周囲のサポーターにとってもサステナブルな仕組みを提供することを目指している。

このほど、かんぽNEXTパートナーズ、ツクイキャピタル、名南M&A、OKBキャピタル、ユナイテッド、エンジェル投資家4名を引受先とした第三者割当増資により、約1.3億円の資金調達を実施した。

アシスタント機能・見守り機能付きの決済サービスにおいて、高齢者本人向け・離れて過ごす家族向け・身寄りのない人を見守る行政向け、それぞれに適したサービスを用意することで利用者の幅を順次拡大しており、今後はサービスとしての提供価値の強化を行うとともに、アライアンスを通じてB2B2Cでの顧客基盤の拡大を進める考えを示した。

【投資家からのコメント(一部抜粋)】

・かんぽNEXTパートナーズ シニア・ディレクター 塙浩一氏

「誰もがお買いものを楽しみ続けられる世の中にする」というKAERU社のビジョンに共感し、投資を決定させていただきました。

認知力の低下などさまざまな理由で金銭管理に課題を抱える方、そしてそれを支援するご家族や介護に携わる方、この双方をサポートできるKAERU社のプロダクトは、超高齢社会において本当に必要とされていると感じております。

かんぽNEXTパートナーズとしても、岡田さん、福田さんを中心としたチームの取組みを全力でサポートして参りたいと考えております。

・ツクイ・ケアテック投資事業有限責任組合 無限責任組合員 ツクイキャピタル 代表取締役社長 野嶋義和氏

認知症などにより金銭管理に支援を必要とする高齢者は約480万人、うち約390万人が在宅と推計されています。(2022年9月時点)

現金取り扱いにかかる介護事業者の事務の煩雑さやリスク、遠方でサポートするご家族の労力といった日常的金銭管理の課題に対してキャッシュレス化を推し進めるKAERU社の取り組みが進むことを期待しています。KAERU社の成長が加速するよう支援してまいります。

・名南M&A 取締役 櫻田貴志氏

人口オーナス社会が進む日本において、限られた労働人口で高齢者福祉インフラを維持するためには現場のさらなるDX化が必要不可欠です。KAERU社のサービスがこの課題の解決に寄与し、高齢者福祉の維持発展に大きく貢献することを期待し、東海地域を中心にスタートアップ支援に注力する大垣共立銀行グループのOKBBキャピタルとともに運営するファンドより出資決定いたしました。今後、同社の中部地区での事業拡大に向け、全力でサポートさせていただきます。

・ユナイテッド 投資事業本部 キャピタリスト/マネージャー 八重樫郁哉氏

代表の岡田さんとは、KAERUの事業、および同社が解決する課題について幾度も対話をさせていただきました。その中で、高齢者の金銭管理に関わる課題の深刻さや、高齢者の金銭管理が当人のみならず、その関係者の幸福度に極めて大きな影響を与えることを知りました。

そして、この課題を解決できるのはKAERUチームであろうと確信するに至りました。FinTech事業を立ち上げた経営陣の経験と、岡田さん自ら介護ヘルパーとして働く中で得られた現場に対する知見の双方を有するこのチームであれば実現できると信じ、この度出資を決定いたしました。

高齢化社会で、より深刻化していく課題への大きなチャレンジにご一緒できることを大変嬉しく思っております。 

KAERUが事業をさらに成長させ、「誰もがお買いものを楽しみ続けられる世の中にする」というビジョンを達成できるよう、当社としても支援して参ります。