Fast Fitness Japan社長・山部清明「『エニタイムフィットネス』のブランドを生かし、ジム周辺の新たな領域を開拓していく」

フィットネス業界は「二極化」が進む

 当社はフィットネスジム「エニタイムフィットネス」を全国に1134店舗を運営し、会員数84万人(いずれも2024年3月末時点)という企業です。1店舗あたりの会員数は、お陰様で毎月、対前年度比で7%程度伸び続けています。コロナ禍では業界全体で需要が一時、大きく減少しましたが、それ以降は成長軌道に戻っています。

 今、業界では24時間型のジムが種類も数も増加していますが、その中身は「二極化」していると見ています。一方の極はRIZAPグループさんが手掛ける「チョコザップ」のように月額3000円程度という価格で訴求している業態です。

 我々はもう一方の極、「価値訴求型」の業態に属していると考えています。そして価格を訴求する業態は運動初心者を開拓する一方、我々は週3~4回、しっかり体を鍛えたいと考える方が多いなどお客様の層、価格帯などが違っていますから直接にバッティングしていないと思います。「チョコザップ」で運動を始めて、もう少し本格的に取り組みたいと、我々の会員になる方もいます。

 日本のフィットネス参加率は4%程度ですが、アメリカで20%弱、ヨーロッパでも10数%、アジアでも10数%という国もありますから、日本ではまだまだ開拓の余地があります。

 我々は老若男女、全てをターゲットにしていますが、結果として会員の8割が若い男性となっています。今後はこの方々のご期待に応えながら、もう少し裾野を広げたいと考えています。

 その1つが、主に女性をターゲットにした新業態「ザ・バー・メソッド」です。トレーナーの指導の下、バレエのバーを使った体幹やインナーマッスルを鍛えるエクササイズで、アメリカで拡大しています。アメリカ外で展開するのは日本が初めてとなります。

 他にも国内では、企業や大学のキャンパスに店舗を出店したり、地方自治体との連携も進んでいます。ジムがあれば日常生活の一部としてお使いいただける機会が増えると思います。

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「第2の創業」で新たな事業の柱を立てる

 現在、全世界で「エニタイムフィットネス」は約5500店舗ありますが、日本はそのうち約2割を占めています。そのことが評価され、24年4月にドイツでのマスターフランチャイジー権を取得しました。ドイツは日本よりも大きい市場がありますから、今後に期待しています。

 また、アジアではシンガポールでフランチャイズオーナー企業を買収し、そこを拠点にアジア、中東、中央アジアに足場を築いていこうと考えています。

 今、社内には「第2の創業」というメッセージを伝えています。これまで当社は、優れたビジネスモデル、日本における立ち上げメンバーなど先達の努力で順調に成長してきました。

 これまでは「エニタイムフィットネス」というジムの力で成長してきましたが、私の代ではジムの周囲にいくつかの新たな柱を立てたいと考えています。

 例えば、秋からの開始を予定している物販の他、eコマース、新業態、パーソナルトレーニング、海外展開、会員さんの利便性を高めるサブスクリプションモデルのサービスといったことが考えられます。新たな領域に挑戦していこうということを訴えているのです。