東京美容科学研究所、ブランド刷新でEC会員倍増 EC売上は236%成長と大躍進

化粧品の製造・販売を90年以上行う東京美容科学研究所は、2022年6月に行った商品のリブランディングから2年間で、ECサイトの会員数が約2倍に増加した。2023年のEC売上高は、前年比236%と大幅に増加している。

 

同社は創業から化粧品の成分や人間の肌を研究し続けている。

小澤貴子代表は応用化学博士の学位を有しており、化粧品に使われる原料の構造や特性について専門的な知識を持つ。正しい美容知識の普及のために全国各地で定期的に講演している。延べ2万人以上の受講者には、皮膚科医など肌のプロフェッショナルも含まれるという。

「研究や製品の原料にこだわる分、広告などにコストを割けない課題があった」(小澤代表)と話す。

 

ブランドの主な認知拡大の方法は、口コミや紹介だ。

「親子二代、三代で愛用してくれている方も多い。愛用者が、肌の悩みを抱える友人を講座や店舗に連れてくることもある」(同)と話す。

 2年前のリブランディングでは、製品の高い品質を損なうことなく、ECサイトやパッケージデザインを現代風のシンプルなデザインに刷新した。

▲刷新したコーポレートサイト

「リブランディングのきっかけも愛用者からの声だった。もっと商品を知ってもらうにはどうしたらいいかと一緒に考え、まずは創業当初からほとんど変わらないパッケージを新しくしようと、デザイン会社を紹介してもらうところから始まった」(同)と語る。

口コミや紹介で広まっていくブランドだからこそ、より手に取りやすく、人に紹介したくなるデザインに刷新した。このリブランディングが口コミや紹介の促進に効果的に寄与した。

さらに、商品のECサイトとは別で、同社が研究所として培ってきたスキンケアに関する知見を記事として発信するサイトを設けている。記事から同社を知り、商品を購入する人や、毎回熟読しているファンもいるため、リブランディングによる認知拡大と併せて引き続き注力していく考えだ。

「今後も口コミでの認知拡大に期待したい。ブランドを全く知らなかった人にも手に取ってもらえる商品になったのではないかと思う」(同)と自信を見せた。

今後は、オンラインでの肌質診断やLINEやチャットを使った肌の相談窓口を設けるなど、より気軽に親しみやすいブランドを目指す。さらに培ってきた肌の知識をユーチューブでも発信し、美容業界における自社の価値を確固たるものにしたい考えだ。