楽天、中間期の国内EC流通は4.7%減の2.7兆円 三木谷社長「SPU改善で国内ECの売上収益は成長」

楽天グループ(楽天)は8月9日、2024年1‐6月期(中間期)の決算発表を実施した。国内EC流通総額は前年同期比4.7%減の2兆7329億円だった。三木谷浩史社長は、「SPUの改善により、より優良なお客さまに厚く(還元する)施策を実施したことで、国内ECの売り上げが成長し、収益が改善した」と説明した。

2024年4‐6月期(純第2四半期)における国内EC流通総額は、同4.8%減の1兆3839億円だった。SPU改定やペイメントオンライン移管、全国旅行支援終了の一過性要因を除けば同3.1%増だったという。

楽天トラベルの国内宿泊流通総額は、コロナ禍前の2019年度と比べて34%増となっている。広告事業の売上収益、Rakuten TVのユーザー数、Rakuten Koboの総登録者数なども伸びている。

「楽天市場」の流通総額は、SPU改定の影響はあったものの堅調に推移している。第3四半期は前期にふるさと納税のルール変更による駆け込み需要の影響を受けるが、第4四半期以降はプラス成長に転じ、2024年通期ではプラス成長を目指すという。

物流事業は黒字化に向けて収益性の改善が進捗している。「楽天スーパーロジスティクス」の契約店舗数も2024年7月に1万店舗を突破し、着実に増加しているという。

AI活用は強化していく。ディープラーニング技術を活用し、顧客が本当に欲しい商品の発見をサポートしている。

セマンティック検索(自然言語を理解し、その意味に沿った検索結果を提供する技術)を2023年に「Rakuten Fashion」が導入し、検索結果ゼロが95.3%減少した。2024年第1四半期には「楽天市場」にも導入し、検索結果ゼロが98.5%減少している。「楽天ラクマ」「楽天ブックス」「楽天リワード」にも導入していく。

▲セマンティック検索の導入

セマンティックテクノロジーをレコメンデーションにも活用する。最新のAI手法による高精度なパーソナライゼーションにより、ユーザーの細かい興味にも寄り添うコンテンツを提供する。「楽天市場」ではこのレコメンデーションにより、CTRは9.2%上昇した。

▲セマンティックテクノロジーをレコメンデーションにも活用

ビジュアル検索(画像検索)にもAIを活用している。従来のソリューションでは、高コストであるにも関わらず検索結果の関連性が低かった。AI導入後、オペーションコストを43%削減できた上で検索結果の関連性は高まっている。

▲ビジュアル検索にもAI活用