TISインテックグループのTISは8月7日、同社の量子回路シミュレーションWebサービス「Qni(キューニ)」において、産総研のグループ会社AIST Solutions提供の計算基盤「ABCI(AI Bridging Cloud Infrastructure)」上で実行可能なサービスの提供を開始することを発表した。なお「ABCI」上の「Qni」の利用については、申請や利用料が必要となる。

大規模量子回路シミュレーションをWebブラウザ上で容易に実行可能にする連携

ブラウザで実行可能な量子回路シミュレータ「Qni」は、量子回路をGUIで直接操作しながら量子コンピューティングの学習やシミュレーションが可能サービスでエンジニア育成のために国内外に無料提供している。

産総研計算基盤「ABCI」(公式Webサイト)

今回、産総研グループが運用する人工知能処理向け計算基盤「ABCI」上で利用できるようNVIDIAの量子コンピューティング用SDK「cuQuantum」によるGPU処理、スパコンをWebブラウザで利用可能にするフレームワーク「Open OnDemand」などを活用するなど改良を重ね最大30量子ビットのシミュレーションが可能になった。同社では大きな改良ポイントとして、シミュレーション処理をCPUではなくGPUで実行できるよう変更したことを挙げており、併せてGPUを効率的に使う「cuQuantum」でGPUの性能を最大限に発揮することがサービス実現につながったとしている。ほか、計算ジョブの優先度調整機能「ジョブスケジューラ」や安全なユーザログイン機能「ユーザ認証」などのスパコン用サブシステムも「Open OnDemand」を活用することでスムーズな連携が可能になっている。

  • 産総研「ABCI」上での「Qni」による量子回路シミュレーションWebサービス利用イメージ(同社資料より)

今回の新サービス提供により産総研では同組織が掲げる「量子未来社会ビジョン」の啓蒙活動、TISは量子コンピューティング向けオープンソースソフトウェアの拡充を図る。