【総合大賞に小野桃園『黎王』】産直EC「食べチョク」が「桃グランプリ2024」開催

ビビッドガーデンは7月30日、日本最大の産直通販サイト「食べチョク」において、全国の桃の生産者を対象とした桃の品評会「食べチョク桃グランプリ2024」を開催した。総合大賞は、「小野桃園」(山梨県)の「黎王(れいおう)」受賞した。奥深い桃の魅力と桃生産者の取り組みの発信を目指す。

ビビッドガーデンの運営する「食べチョク」は、こだわり生産者から食材や花きを直接購入できる産直通販サイト。生産者に食べた感想を伝えるなど、消費者と生産者が直接やりとりできるという特徴を備える。

このほど、奥深い桃の魅力と桃生産者の取り組みの発信に繋げることを目的に、桃の生産者を対象とした桃の品評会「食べチョク桃グランプリ2024」を開催。全国各地の15軒の桃の生産者がエントリーした。

審査員は、桃に関する知見を持った研究者・生産者・消費者等13名が務めた。「総合大賞」のほか、「硬い桃部門」「やわらかい桃部門」の特徴別の部門も設け、商品名や生産者情報などを伏せた状態で審査を実施。見た目や食味、桃がおいしい状態で届くための梱包の工夫などを相対評価で審査し、合計点数によって各賞を決定した。

▲審査中の様子

▲生産者名を伏せた状態で審査

「総合大賞」は、「小野桃園」(山梨県)の「黎王(れいおう)」が受賞した。「黎王」は、日本の気候では育成が難しい果物だという桃の変種「ネクタリン」の一種。「小野桃園」の師匠がアメリカで長年研究を重ね、日本人好みの甘いネクタリン「黎王」を生み出した。その樹を受け継いだ「小野桃園」が技術をかけ合わせ、「黎王」の甘みをより引き出した逸品を作り上げ、今回の受賞に至った。

▲総合大賞は小野桃園の「黎王」

糖度が25度以上と、白桃の糖度20度以上を超える甘さに加え、ネクタリン本来の「酸味」が甘さを一層引き立たせている。「黎王」という名称には、「新しい時代や文化が始まろうとするこれからの黎明期で頂点に立ち、次世代の王として君臨する桃」という願いが込められている。

▲日本人好みの甘いネクタリン「黎王」

「小野桃園」は、先代から受け継がれている土づくりにこだわり、化学肥料を使わず有用微生物物群を取り入れ、環境に配慮した栽培を実施。多種多様な生物と木の共存で病害虫に強い健全な木を育成することで減農薬栽培を可能にし、本来の美味しさを最大限に引き出した桃を栽培している。

審査員は、「口に入れた瞬間とろける食感と甘さが前面に出ていてとても美味しい。まるでマンゴーのような色合いが印象的で、肉質がやわらかい上に甘みとみずみずしさのバランスがよく、桃の味をしっかりと感じることができた」とコメントした。

「やわらかい桃部門:金賞」は、「つむぎ果樹園」(岐阜県)の「白鳳」が受賞した。

▲やわらかい桃部門「金賞」を受賞したつむぎ果樹園「白鳳」

「つむぎ果樹園」は、厳しい気候で桃を育てるのに適した地域ではない飛騨地域にあるが、昼夜の寒暖差が激しく南に傾斜した地域にあり、日照時間が長くなるため美味しい桃が育つ条件が整っている。肥料にこだわり、朝の温度が低い時間に収穫することによって過熟を防ぎ、より良い状態で桃を届けており、選別の際には1玉1玉糖度センサーで計測し、基準を満たしたもののみを箱詰めしている。

審査員は、「果汁の量が多く食べた後にも桃の香りが口の中に残り、幸せを感じる。空けた瞬間に桃の香りが強く、ときめきがある」とコメントした。

「硬い桃部門:金賞」は、総合大賞と同じ「小野桃園」(山梨県)の「夢しらね」が受賞した。審査員は、「濃厚な甘みと程よい硬さで食べ応えを感じ、色味も可愛くて印象に残りました。噛めば噛むほど甘味が広がり余韻も楽しめる」とコメントした。

▲硬い桃部門「金賞」を受賞した小野桃園の「夢しらね」

全賞の結果に加え、各受賞者の「食感や色沢などそれぞれの特徴を持った桃の魅力」や「栽培方法のこだわり」は、「食べチョク桃グランプリ2024」の特設ページにて公開している。

全国9900軒以上の生産者が登録する「食べチョク」では、普段はなかなか出会えない珍しい食材やこだわりの逸品を販売している。中でも夏から秋にかけて旬を迎える桃は、国内だけで100種類以上の品種が存在すると言われている。「食べチョク」には現在130品種の桃が販売されていて、がそれぞれ異なる魅力がある。

「福島県や山梨県では硬い品種の桃が好まれる」「長野県は新品種の産地」「岡山県の白い桃は世界でも珍しい栽培方法を採用する」など、桃は品種の違いも地域ごとの特色もさまざまだが、輸送性の観点から、世間一般に流通している一部の桃が「桃全体のイメージ」になっているという現状がある。

「最初はシャキシャキとしていて、徐々にやわらかくなる桃」など、食感や味わいが異なるさまざまな桃が存在することをより広く知ってもらい、桃の奥深い世界を楽しんでもらう機会として、本グランプリの開催に至ったとしている。

また、気候変動等の影響を受け、桃の生産現場でもさまざまな対応に迫られているとし、桃の生産者からみた現状を伝えることで、地球環境の変化や日本の一次産業の未来を考えるきっかけにしてほしいとしている。

質の高い桃を栽培している生産者に光を当て、その魅力を発信していくことで、ビビッドガーデンが目指す「生産者のこだわりが正当に評価される世界」の実現に繋がるとの考えを示した。