デイトラは8月1日、企業における生成AI導入の現状を把握するために実施した調査結果を公表した。76.5%の企業が生成AIを活用しておらず、導入に向けた課題として導入コストや技術的な難しさが主な障壁となっていることが明らかになった。

  • 生成AI活用状況(出典:デイトラ)

    生成AI活用状況(出典:デイトラ)

同レポートは、デイトラが7月5~6日に企業の生成AI導入の現状を把握し、導入の妨げとなっている原因を特定することを目的に、会社員1447人に対して実施したインターネットによるアンケート調査に基づくもの。

生成AI活用状況は「活用している」が11.5%

生成AI活用状況を尋ねると、企業全体での回答は「活用している」が11.5%、「検討中」が12.0%、「活用していない」が76.5%。個人レベルでの回答は「活用している」が9.1%、「検討中」が10.5%、「活用していない」が80.4%となった。

企業の76.5%と個人の80.4%が生成AIを活用していない一方で、企業の23.5%は生成AIに取り組んでおり、今後の成長の可能性が見られる。

分野別の活用度合いについては、「顧客サービス」が13.1%、「マーケティング」が10.6%、「製品開発・研究」が8.9%、「業務効率化・自動化」が11.6%、「人事・採用」が7.9%、「財務・会計」が8.4%であった。

顧客サービスと業務効率化・自動化の分野で多く活用されているのは、AIの効果が即座に感じられるためであり、人事・採用や財務・会計での活用率は低い理由は、慎重なアプローチが求められているためだとデイトラはみている。

  • 分野別活用度合い(出典:デイトラ)

    分野別活用度合い(出典:デイトラ)

生成AI活用による主な効果を聞くと、「業務効率の向上」が39.8%、「コスト削減」が38.0%、「従業員の生産性向上」が23.4%となった。この結果から、生成AIの利点と導入の障壁が拮抗しており、多くの企業が導入を迷っていることがわかる。

生成AI活用における課題は「導入コスト」

生成AI活用における主な課題について尋ねると、「導入コスト」が33.7%、「技術的な難しさ」が31.9%、「従業員のスキル不足」が30.7%であった。従業員の生産性向上が主な効果として認識されているため、適切な教育投資によってこの課題を克服できる可能性があるという。

  • 生成AI活用における主な課題(出典:デイトラ)

    生成AI活用における主な課題(出典:デイトラ)

今後2年間で生成AI投資はどのように変化すると予想されるか聞くと、「増加(大幅増加+やや増加)」が28.0%、「変化なし」が61.4%、「減少(大幅減少+やや減少)」が10.6%であった。多くの企業が様子見をしている中で、約3分の1の企業が積極的に取り組んでおり、この先駆的な企業の成功が他の企業の導入に影響を与える可能性があるとデイトラはみている。

なお、セキュリティリスク(25.8%)や法的・倫理的問題(17.6%)は無視できない課題であり、これらの懸念が財務・会計や人事・採用などの機密性の高い分野での導入を遅らせている可能性があるということだ。

日本企業における生成AIの導入はまだ初期段階にあるものの、今後2年間で約3割の企業が投資を増加させる予定であることから、徐々に導入が進んでいくとデイトラは予想している。また生成AI導入の課題克服には、企業や技術提供者、教育機関が連携し導入障壁を低減させていくことが重要だとデイトラは指摘している。