【先駆者の次の一手】アンファー、AGAのオンライン診療プラットフォーム始動 「メディカルヘルスケアカンパニーへ」

育毛剤やシャンプーのメーカーであるアンファーは6月12日、AGA治療に特化したオンライン診療のポータルサイト「スカルプDクリニック」を開設した。

ポータルサイトから、AGAのオンライン診療やオンライン服薬指導を提供している。対面診療が行えるクリニックの紹介も行っている。

吉田南音社長は、「単なる育毛剤の会社ではなく、真のメディカルヘルスケアカンパニーになっていく」と話している。

<有名クリニックと提携>

アンファーが開設した「スカルプDクリニック」は、「Dクリニック」「イースト駅前クリニック」など、全国46院のクリニックと提携している。

 

利用にあたっては、「スカルプDクリニック」のサイト上から、オンラインでのカウンセリングと診察を予約する。電話とオンラインでの診察後は、各クリニックがAGA治療に役立つ医薬品を販売。自宅に配送されるという仕組みだ。

 

アンファーは、オンライン診療の領域においては後発だ。ただ、吉田尚社長は「AGAの領域においては、後発の最大手だ」と話す。

 

吉田社長によると、コロナ禍において、AGA領域では大きなニーズの変化が起きたという。規制緩和でオンライン診療・オンライン服薬指導が解禁となった。それによって、オンライン処方の仕組みが構築され、ユーザーのハードルが下がり、市場が拡大したという。同時に、AGA関連の医薬品の値崩れも発生したという。

 

「市場が拡大したことで現在、製品やサービスの価格破壊が起きている。大手であろうと簡単にシェアが取れるとは考えていない。価格以外の付加価値として『スカルプD』ブランドが持つ医学的知見を提供していきたい」と話している。

<髪の毛の駆け込み寺に>

競合がひしめくAGA治療の領域における、アンファーの強みは、これまで育毛剤やシャンプーを販売してきた「スカルプD」の知名度だ。アンファーはこれまで、「予防医学のアンファー」というブランド名で認知拡大を図ってきた。メディカルなイメージが、髪の悩みを持つ新規ユーザーを取り込むきっかけになると考えているようだ。

 

「われわれはグループでAGAのクリニックを運営しており、ドクターも専門家も擁している。AGAだけでなく、抜毛症や頭皮の湿疹、円形脱毛症など、どんな悩みでもまずは相談してほしい。その入り口として『スカルプDクリニック』を開設した」(吉田社長)という。

 

アンファーでは今後、「スカルプDクリニック」内に、AIチャットや画像診断といった機能も導入する計画だという。「将来髪の毛がどうなるかという改善イメージまでAIが提案できるサービスを作りたい」(同)と言う。