NECは7月30日、2024年度第1四半期(2024年4~6月)の連結業績に関する決算説明会を開催した。説明会には、同社 取締役 代表執行役Corporate EVP 兼 CFOの藤川修氏が登壇した。

売上収益は前年同期比2.3%減の6903億円

全体的な業績は、売上収益が前年同期比2.3%減の6903億円となり、調整後営業利益は前年同期の5億円から127億円となった。

なお、売上収益の減少に関して藤川氏は、2017年に子会社化した「日本航空電子工業(JAE)の非連結化の影響」と説明している。

  • NEC 取締役 代表執行役Corporate EVP 兼 CFOの藤川修氏

    NEC 取締役 代表執行役Corporate EVP 兼 CFOの藤川修氏

また、Non-GAAP営業利益については、6億円から163億円に拡大し、前年同期比157億円増となった。Non-GAAP当期利益は、前年同期がマイナス13億円の赤字だったのに対して、105億円の黒字となっている。

セグメント別で見ると、ITサービスの売上収益は前年度比8.4%増の4183億円で、藤川氏は「売上収益は国内および海外ともに好調」と説明した。

調整後営業利益については、前年同期比26億円増の145億円となっており、国内での構造改革費用や一時的な費用増はあるものの、海外でのAvaloqを中心とした利益改善により増益している。

  • ITサービスの売上収益

    ITサービスの売上収益

一方の社会インフラ領域については、売上収益は前年度比2.8%増の2192億円、調整後営業利益については、テレコムサービスの開発費を中心とした費用効率化により改善されており前年同期がマイナス72億円だったのに対して32億円のプラスとなっている。

また同領域に関して、藤川氏によると「ANS(Aerospace and National Security:航空宇宙および国家安全保障領域に関わるICTソリューション)での案件の遂行により増収増益を実現している」という。

  • 社会インフラ領域の売上収益

    社会インフラ領域の売上収益

2024年度の業績予想

2024年度の業績予想としては、4月26日に発表されたものと変わらず、売上収益に関して、2024年度は前年度比3.1%減の3兆3700億円を予想、2025年度には3兆5000億円の達成を目指す方針だという。

  • 2024年度の業績予想

    2024年度の業績予想

セグメント別の予想を見てみると、ITサービス領域については、前年度比1.9%増の1兆9500億円を予想しており、調整後営業利益は前年度比79億円増の1920億円となる見込みだという。

一方の社会インフラ領域に関しては、前年度比8.6%増の1兆1700億円と予想されており、調整後営業利益は前年度比459億円増の1010億円となる予想だ。

特に増幅が大きい社会インフラ領域については、ANSでのプロジェクトを確実に実行することで増収を計画しているほか、調整後営業利益は、テレコムサービスでのグローバル5Gの改善と23年度の一過性費用の剥落により増益を計画しているという。

BluStellarをはじめとする取り組み

最後に藤川氏は、今後の注力領域として、同社が5月に「顧客を未来へ導く価値創造モデル」として立ち上げた「BluStellar」を紹介した。

同社はBluStellarを通じて、ビジネスモデル・テクノロジー・組織/人材という3つのプリンシプルを圧倒的に進化させることを目標に掲げ、「AI for all Process:AIをフル活用したビジネスプロセス変革」「AI&Security:先端テクノロジーの集約、AI/生成AIとセキュリティをキーに」「Collaboration&Co-Creation:オープンなエコシステムによる共創」を行うとしている。

  • BluStellarのイメージ

    BluStellarのイメージ

これに加えて、デジタルIDや顔認証技術を組み合わせたデジタル社員証を社員2万人への導入や、生成AIに関する事業戦略・製品開発の機能を集約した新組織として「AIテクノロジーサービス事業部」を設置するなど、新しい取り組みにも積極的に着手していきたい構え。