米Googleは7月22日(現地時間)、ChromeブラウザでのサードパーティCookieの廃止を目指した取り組みを見直し、今後もサポートを継続することを発表した。代わりに、「ユーザーの選択」に焦点を当て、ユーザーによるプライバシーコントロールの向上に注力する方針である。

2017年、ケンブリッジ・アナリティカ事件、欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)の採択、大規模データ侵害事件の増加などから、人々のプライバシー意識が急速に高まった。この変化を背景に、Googleは2019年にユーザーのプライバシーを保護しながら、効果的に広告を配信する代替技術の開発を進め、"脱Cookie"を実現する取り組みを開始した。ユーザーを類似の興味を持つグループにカテゴリ化する「FLoC」 (Federated Learning of Cohorts)、ユーザーの興味に基づいて関連性の高い広告を配信する「Topics」、クロスサイトトラッキングを許可せずにリマーケティングやカスタムオーディエンス広告を実現する「FLEDGE」などを提案し、関係者のフィードバックを収集しながら、プライバシーサンドボックスの実装に向けて開発を進めてきた。

しかしながら、サードパーティCookie廃止に対する広告主やパブリッシャーの抵抗は強く、またデジタル広告市場の基盤となる技術を決定するGoogleの影響力に対する懸念も広がり、2021年に英競争・市場庁(CMA)が調査に乗り出した。これらの要因により、当初2022年を予定していたサードパーティCookie廃止の実現時期が3度延期され、2025年にずれ込んでいた。

これまでのテストを通じたプライバシーサンドボックスの効果、広告主やパブリッシャーへの影響を踏まえて、Googleはユーザーの選択を重視する新たなアプローチを提案し、規制当局との対話を開始した。7月22日にGoogleが公開した「A new path for Privacy Sandbox on the web」で、アンソニー・チャベス氏(プライバシーサンドボックス担当VP)は次のように述べている。

「サードパーティCookieを廃止する代わりに、Chromeに新しい機能を導入します。この機能により、ユーザーはWebブラウジング全体に適用される選択を、十分な情報を得た上で行うことができるようになります。さらに、ユーザーはこの選択をいつでも調整することが可能になります」

今後もPrivacy Sandbox APIの提供は継続し、プライバシーと豊かなコンテンツアクセスを向上させるための投資を行なっていくという。 また、IP ProtectionをChromeのIncognitoモードに導入するなど、プライバシーコントロールの追加も計画している。