マネーフォワードと三井住友カードは7月17日、オンラインとオフラインのハイブリッドで記者説明会を開催し、個人向け事業において合弁会社の設立を含む資本業務提携に関する基本合意書を締結したと発表した。今後、個人事業主や法人向けの事業においても、協業を検討していく。なお、合弁会社の出資比率はマネーフォワードの個人向け事業の分社で51%、三井住友カードが49%となる。

革新的で便利なサービスを創出

今回、マネーフォワードの家計簿・資産管理アプリ「マネーフォワード ME」を中心とした個人ユーザーのお金に関わる各種サービスと、三井住友カードが提供するデジタルをベースとした最先端のキャッシュレスサービスや、SMBCグループが提供する個人向け総合金融サービス「Olive」を融合する。

マネーフォワード 代表取締役社長CEOの辻庸介氏は「当社の調査結果では、ユーザーの方はお金に不安を感じ、金融サービスが難しくて分からない、損はしたくないと考えおり、提供サービスだけでは解決できなかった多くの課題が存在していた。そのため、金融サービスを掛け合わせることで新たなサービスを提供することで、お金の見える化からアクションにつなげ、もっと便利にしていく」と述べた。

  • マネーフォワード 代表取締役社長CEOの辻庸介氏

    マネーフォワード 代表取締役社長CEOの辻庸介氏

三井住友カード 代表取締役社長兼最高執行役員の大西幸彦氏は「今回の提携により、個人事業主に加え、法人向けでも幅広く連携する。お客さま起点の“オープンなお金のプラットフォーム”を目指す。三井住友カードでは、個人と加盟店向けに2つのサービスを提供し、モバイル総合金融プラットフォームのOliveを展開している。両社で連携することで、これまでにない革新的で便利なサービスを提供していく」と話す。

また、大西氏は「今春に辻氏と話し合いを持ち、新しい世界が作れると確信した。Oliveにとっても進化に向けた大きなステップであり、オープンとパーソナライズがキーワードになり、組み合わせるだけではなく、新しいものを作る」と意気込みを語った。

  • 三井住友カード 代表取締役社長兼最高執行役員の大西幸彦氏

    三井住友カード 代表取締役社長兼最高執行役員の大西幸彦氏

現在、マネーフォワード MEは銀行やクレジットカード、証券、ポイントなど、2460以上の金融関連サービスを連携でき、入出金履歴や残高、購入履歴といった情報を取得して家計簿を自動で作成することができる。

さらに、金融資産の比率や日ごとの評価損益を確認できる機能、資産形成に特化した新たなコースなど、資産管理に関する開発を進めてきた。現在、利用者数は1610万人、口座連携金融資産額は25兆円を突破している。

  • 「マネーフォワード ME」の概要

    「マネーフォワード ME」の概要

一方、三井住友カードは三井住友銀行などと共同で、2023年3月からOliveを提供し、銀行口座やカード決済、ファイナンス、オンライン証券、オンライン保険などの機能をモバイルアプリ上でシームレスに利用するが可能。サービス開始から1年で230万人超のアカウントが開設されており、7月中には300万アカウント超える見込みだ。

  • 「Olive」の概要

    「Olive」の概要

提携を通じ、マネーフォワード MEが持つ家計や資産を管理できる機能と、Oliveが持つ銀行口座、カード決済、ファイナンス、オンライン証券などの金融機能を掛け合わせることで、ユーザー起点の「オープンなお金のプラットフォーム」を創出していく考えだ。

展開予定のサービス、合弁会社は12月に始動

今後の展開予定のサービスは、シームレスな資金移動をマネーフォワード MEとOliveの機能を掛け合わせて実現し、口座管理画面でさまざまな金融機関の口座残高を一覧で確認できることに加え、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で金融機関をまたいだ資金移動が実現できる機能を検討していく。

  • シームレスな資金移動のイメージ

    シームレスな資金移動のイメージ

また、三井住友カードが持つクレジットカードの即時利用通知サービスと、マネーフォワード MEが持つ資産状況を見える化できる機能を掛け合わせ、クレジットカードの利用情報を迅速に家計簿へ反映できる機能を検討する。

さらに、三井住友カードのクレジットカードやOliveの利用状況と、マネーフォワード MEが持つ家計管理データの分析により、借入れ可能な金額を事前にサジェストする機能を検討。適切な借入れ額の設定で突然の出費に対する不安を解消するとともに、無理のない返済のサポートも行う。

加えて、マネーフォワード MEの利用状況に応じて「青と黄色のVポイント」が貯まる機能を検討していることに加え、家計・資産の状況や各種金融サービスの利用状況を分析し、お金の使い方を提案するAIアシスタント機能を検討。

  • AIアシスタント機能を検討している

    AIアシスタント機能を検討している

そのほか、個人事業主や法人向けのビジネス領域においても、両社の強みを掛け合わせた、新たな顧客体験の実現を目指す方針だ。

  • ビジネス領域においても連携を進めていくことを検討している

    ビジネス領域においても連携を進めていくことを検討している

合弁会社については2024年9月末に最終契約の締結とその公表を予定し、名称や所在地は現在準備を進めており、事業開始は同12月を予定している。