ピュア・ストレージ・ジャパンは7月4日、年次カンファレンス「Pure//Accelerate 2024」で発表された新サービスや最新情報に関する説明会を日本のメディア向けに開催した。
ピュア・ストレージ・ジャパンは7月4日、オンラインで6月19日~22日の期間で米ラスベガスで開催した年次カンファレンス「Pure//Accelerate 2024」で発表された新サービスや最新情報に関する説明会を日本のメディア向けに開催した。
好調なビジネスのピュア・ストレージ
まず、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏がグローバルにおけるビジネス概況を説明。2025年度第1四半期の収益は対前年成長率18%成長の6億9350万ドル、サブスクリプションARR(年間経常収益)は同25%成長の14億5000万ドルとなり、同氏は「非常に好調」と胸を張る。
また、AIデータマネジメントなどの影響により、AI関連の需要拡大に伴い、FlashBladeの売上高が第1四半期では過去最高となった。
一方、日本におけるビジネスをけん引する可能性として、テクノロジー投資に取り組む政府やAI&生成AI、気候変動への対応、データセンターの拡張とモダナイズを挙げている。
その中でもAIに関しては、同社が行った調査結果を引き合いに出した田中氏は「AIの導入には電力消費に関して、十分な準備ができておらず、AI導入後にインフラのバージョンアップの必要に迫られ、サステナビリティの目標達成に向けてはAIプロジェクトに適したITインフラが必要不可欠という結果が得られた」と述べており、今回のカンファレンスで発表したソリューションで解決が図れるとした。
「Pure Fusion」を「Purity」に組み込み、ストレージを自動化
続いて、ピュア・ストレージ・ジャパン アジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジストの岩本知博氏がカンファレンスで発表された新サービスなどを解説した。
まず、従来からクラウド提供していた「Pure Fusion」をストレージOS「Purity」に組み込んだ。必要に応じてアレイの統合とストレージプールの最適化を行い、オンプレミス、クラウドいずれの環境においても、構造化・非構造化データの両方をサポートし、ストレージの自動化を図った。
岩本氏は「ロケーションや構成、監視可能性、データ保護といったストレージ管理の課題に対して、各システムを個別に管理し複数のステップでユーザーが管理するシステムを選択していた。これをセルフサービス化するためにストレージOSに組み込んでおり、最新バージョンにアップデートすれば利用できる」と述べた。
「AI Copilot」は、自然言語を使用してデータの管理・保護を行う新機能。数万社のユーザーから得たインサイトが活用され、ストレージ管理チームによる性能・管理に関する複雑な問題の調査や、セキュリティ・インシデントに対するプロアクティブ(能動的)な対応を、詳細にガイドする。
また、企業におけるAIの活用を加速するための「Evergreen//One for AI」は、AI専用のStorage as a Serviceだ。GPU向けにストレージ性能を提供し、トレーニング、推論、HPCワークロードをサポート。新しいSLA(Service Level Agreement)は、必要な性能を提供するほか、スループット性能に基づく課金モデルでプランニングや過剰購入の必要性を排除する。すでに、NVIDIAの「OVX」「DGX BasePOD」「DGX SuperPOD」の認定を取得しており、AI向けに実証済みだという。
岩本氏は「AIのサービスがビジネス的に将来どうなるか判然としないため、多くのお客さまはストレージに対するサブスクリプションを使いたいと考えている。パブリッククラウドのストレージサービスは、容量と性能のバランスで金額が決まる。AIは容量が読めず、GPUに対する性能が求められるため、それに対するサブスクリプションを作った」と話す。
サイバーレジリエンシーの機能を拡充
一方、セキュリティ関連も機能拡張を行っている。新たなアセスメント機能は、フリートレベルのセキュリティリスクを可視化し、レコメンデーションを提示。1万以上の環境から得たインテリジェンスを集約したセキュリティアセスメントは、ストレージフリート全体のセキュリティ・ポスチャの評価を0から5までの数値で示す。
NIST(米国国立標準技術研究所)提唱する、発見から保護、検知、対処、復旧、ガバナンスまで尾を含む「サイバーセキュリティ・フレームワーク 2.0」に準拠。潜在的なセキュリティ異常を修復し、インシデントが発生した場合に業務を復旧するためのベストプラクティスを提示するという。加えて、AI Copilotでセキュリティのベストプラクティスに準拠しているか否かの確認などを行う。
また、ランサムウェア攻撃や異常なアクティビティ、悪意のある行動、DoS攻撃などの脅威を性能異常から検知する。これは、既存機能であるデータ削減状況の異常にもとづくランサムウェア攻撃の検知機能を拡張するものとなる。
拡張した検知機能は、異常な動作を特定する目的で実行する複数の機械学習モデルにもとづいて構築され、過去のデータから顧客環境を分析し、性能のヒューリスティック(経験則)とストレージの使用方法に関するユーザーのコンテキストにより、異常なパターンを検出する。
この機能により、最後に確認された健全なスナップショットコピーを特定し、データをリストアするリカバリポイント目標を特定することで運用への影響を抑え、リスクを低減できるという。
さらに、ランサムウェアリカバリSLAをベースに、SLAのSTaaS(Storage as a Service)「Evergreen//One」をディザスタリカバリにも適用範囲を拡大した。今回、改善された「サイバーリカバリおよびレジリエンスSLA」は、カスタマイズされたリカバリプランを提供。
SLAの条件にもとづきクリーンなサービスインフラを出荷し、オンサイトのインストール、データ転送を支援するプロフェッショナルサービスを追加。さらに、包括的なサイバーセキュリティ戦略の構築と維持に向けて、ベスト・プラクティスの遵守、継続的なリスク・アセスメント、運用上のセキュリティ修復を保証するため、四半期ごとの継続的なレビューを実施する。
加えて、クラウド運用におけるアジリティを確保するため、Evergreen//Oneの新たなサイトリバランスSLAとして、ストレージ要件の進化に応じて既存のリザーブコミットを調整したい企業に柔軟なサービスを提供。
特定のサイトでの容量ニーズがなくなった場合やデータセンターが統合される場合、またはあるサイトの性能が過剰で余剰容量があり他サイトで使用できる場合、サイト・リバランスSLAで各Evergreen//Oneサブスクリプションで12カ月に1度、リザーブ・コミットのリバランスを実施できるとしている。