「たのめーる」「Amazon Business」「Ciモール」が各部門の満足度1位【法人向け通販の顧客満足度調査】

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関J.D. パワー ジャパンは、このほど、「J.D. パワー 2024年法人向け通販サービス顧客満足度調査」の結果を発表した。オフィス部門は「たのめーる」、製造/現場部門は「Amazon Business」、医療/介護部門は「Ciモール」が総合満足度第1位を獲得した。

米国に本社を置くJ.D. パワーは、消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニー。

J.D. パワー ジャパンは年に1回、全国の事業所を対象に、法人向け通販サービスの利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らかにする「J.D. パワー 2024年法人向け通販サービス顧客満足度調査」を実施している。2024年4月下旬~5月下旬に、12回目となる「J.D. パワー 2024年法人向け通販サービス顧客満足度調査」を実施し、その結果を公開した。

今回より、調査対象を従業員3名以上の事業所に拡大し(2023年調査までは従業員5名以上の事業所を対象)、「オフィス部門」「製造/現場部門」「医療/介護部門」の3部門に分け、顧客満足度を測定。オフィス部門2950件、製造/現場部門2000件、医療/介護部門1050件の回答を得た。

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価をもとに1000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「配送対応」「ウェブサイト/カタログ」「提供商品・サービス」「料金/請求」「サポート対応」となっている。

総合満足度スコア(1000ポイント満点)は、オフィス部門が676ポイント、製造/現場部門と医療/介護部門は共に669ポイントとなり、オフィス部門が最も高い結果となった。オフィス部門は特に「配送対応」「料金/請求」「サポート対応」ファクターで調査全体平均を上回るスコアとなり、納期や商品価格、顧客対応等の面で高い満足度を得られている結果となった。

ファクター別に部門間のスコアを比較すると、最も差が大きかったのは「サポート対応」だった。「サポート対応」の満足度スコア(1000ポイント満点)は、オフィス部門で715ポイント、医療/介護部門で708ポイント、製造/現場部門で693ポイントとなり、オフィス部門と製造/現場部門で20ポイント以上の差が開いた。特に「コールセンター」の評価で差が顕著となった。

コールセンターでの用件解決状況を確認すると、「解決した」(「ほぼ解決した」または「完全に解決した」)という回答はオフィス部門で83%と最も高く、次いで医療/介護部門で77%となった。製造/現場部門では71%に留まり、他部門と比べ解決率が低い結果となった。

問い合わせ用件の多くを占める「商品・サービスに関する問い合わせ(相談、不具合、返品・交換、入荷時期・在庫状況)」や「配送・納期に関する問い合わせ(配送不備、状況確認)」等において、「解決しなかった」(「一部解決しなかった」または「まったく解決しなかった」)という回答が3割近く発生しており、今後の改善が期待される。

近年、EC・通販業界においても多くの事業者でサポート対応のオンラインシフトが進められている。本調査における「オンラインサポート」の利用割合は51%で、「コールセンター」が58%、「販売店営業担当者/代理店担当者」が17%となった(複数回答方式:1年以内に何らかのサポート窓口を利用した事業所の集計)。半数以上がオンラインサポートを利用しており、今後の利用増加が予想される結果となった。

一方で、用件の解決率(「ほぼ解決した」または「完全に解決した」の割合)は、「コールセンター」で78%、「オンラインサポート」で73%となり、オンラインでの解決率はコールセンターと比べてやや低い結果となった。

利用機能別にみると、「メール問い合わせフォーム」や「よくある質問(Q&A)ページ/マニュアル・利用ガイドページ」を利用したケースでは、共に82%と8割以上を占めるものの、「チャットボット」を利用したケースでは67%、「有人チャット」を利用したケースでは63%となっており、チャット機能については改善の余地が大きいといえることがわかった。顧客から回答の即時性が期待されるチャットサポートだが、解決率の向上に加え、チャットで提供可能なサポート範囲の明示といった取り組みも併せて必要となると考えられるとした。

各部門の総合満足度ランキングも発表した。オフィス部門(対象8ブランド)の1位は、「配送対応」「料金/請求」の2ファクターで最高評価を得た「たのめーる」(687ポイント)、2位は「ウェブサイト/カタログ」「提供商品・サービス」「サポート対応」の3ファクターで最高評価を得た「@office」(679ポイント)、3位は「ASKUL」(676ポイント)となった。

製造/環境部門(対象6ブランド)は、1位に「ウェブサイト/カタログ」「提供商品・サービス」「料金/請求」「サポート対応」の4ファクターで最高評価を得た「Amazon Business」(683ポイント)、2位に「配送対応」ファクターで最高評価を得た「ASKUL」(677ポイント)、3位に「たのめーる」(667ポイント)がランクインした。

医療/介護部門(対象5ブランド)は、1位が「配送対応」「ウェブサイト/カタログ」「料金/請求」「サポート対応」の4ファクターで最高評価を得た「Ciモール」(686ポイント)、2位が「提供商品・サービス」ファクターで最高評価を得た「ASKUL」(672ポイント)、3位が「Amazon Business」(668ポイント)となった。