Googleは2024年5月に開催された年次イベント「Google I/O」において、Google Chromeに生成AIのGeminiを組み込む計画を発表した。Android Policeが「Google Gemini running in Chrome is so fast it's hard to believe」において、すでにCanaryビルドにおいて組み込みのGemini Nanoが利用できるようになっており、それは「信じられないほど高速」と伝えている。この機能が有効になると、Webサイトの開発者はJavaScript APIを通じて組込みのGeminiにアクセスし、翻訳や文章生成などに利用できるようになる。

通信遅延なしで利用できるAIモデル

Googleは現在、Geminiのモデルとして規模に応じて「Gemini Ultra」「Gemini Pro」「Gemini Nano」の3種類を展開している。Chromeに組み込まれるのはこのうち最小サイズの「Gemini Nano」で、ローカルのPCやモバイルデバイスに組み込んで利用することが想定されている。

WebサイトやWebサービスの開発者は、JavaScript APIを通じて組込みのGemini Nanoを利用できる。サーバ上にある生成AIモデルにネットワーク越しにアクセスする場合と比べて、組み込みのGemini Nanoはオーバーヘッドなしで高速に返答を得られるというメリットがある。

Android Policeが紹介しているデモでは、テキストフィールドに文字を入力すると、ほぼリアルタイムにGeminiによるうテキストが生成されている様子が分かる。デモの作成にはChromeの機能のみが使われており、追加のライブラリーや拡張機能は一切必要なかったという。また、AIモデルはローカルにあるため、インターネット接続無しで利用できる様子も紹介されている。

組み込みGemini Nanoを有効にする方法

Googleは、Chrome Canary版のビルド126から組込みGemini Nanoを展開すると予告していた。本稿執筆時点の最新版はビルド128であり、「chrome://flags」で実験的機能を有効にすれば利用できる。

変更するべき設定は、「#optimization-guide-on-device-model」と「#prompt-api-for-gemini-nano」の2つ。前者は「Enabled BypassPerfRequiement」に、後者は「Enabled」に設定すればよいとのこと。

  • 組込みGemini Nanoを有効にするための設定

    組込みGemini Nanoを有効にするための設定

組込みのGemini Nanoに関する詳細は、Chromeの開発者向けガイドの次のページでも解説されている。