NTTデータグループのコンサルティングファームであるクニエは6月26日、「CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業サステナビリティ報告指令)対応支援サービス」の提供を開始することを発表した。

このサービスではクニエとNTTデータスペインのサステナビリティ専門家が協働し、CSRDに基づく現状の分析から行動計画の策定まで、CSRDへの対応プロセスを3つのステップで支援する。これにより、日本企業はCSRDが求める情報開示基準に基づく情報の整備や改善、EUが定めた期限内でのコンプライアンス実現などが可能になるとのことだ。

サービス概要

同サービスでは、CSRDへの対応プロセスを「ダブル・マテリアリティ分析」「CSRDギャップ分析」「行動計画策定」の3つのフェーズに分類し、これらをクニエのコンサルタントとNTTデータスペインのサステナビリティ専門家が支援する。

自社が社会や環境にもたらす影響に関する情報を収集・分析し、CSRDが求めるサステナビリティ情報開示レベルに基づく情報の整備や、基準を満たすための改善が可能となる。CSRDへの対応プロセスにおいてはNTTデータスペインが開発した「CSRD Gap Analysisツール」を活用する。

  • CSRD Gap Analysisツール ダッシュボード

    CSRD Gap Analysisツール ダッシュボード

ダブル・マテリアリティ分析

CSRD対応の最初では、CSRDにおいて重視されている「ダブル・マテリアリティ」の分析を行う。ダブル・マテリアリティの基準においては、「インパクト・マテリアリティ(企業活動が人、社会、環境に与える可能性のある正負のインパクト)」と「財務マテリアリティ(社会、環境などが企業の財務状況に与える可能性のある正負のインパクト)」を分析し、整理する。

このフェーズでは、インタビューやアンケートなどを通した情報収集に基づき、関連するすべてのステークホルダーを特定し、正負の影響やリスクと機会などを調査する。これにより、自社が対応するダブル・マテリアリティに基づいて、開示すべきサステナビリティ情報の分析が可能になるという。

CSRDギャップ分析

ESRSの12の基準について要件をマッピングした上で、現行の非財務情報開示報告とCSRDで求められる非財務情報開示報告のギャップを、CSRD Gap Analysisツールで可視化する。なお、このツールは情報開示のためのガイダンス、ギャップ分析の結果に基づく改善点の特定、データソースの管理など、サステナビリティ情報開示などに関する機能を備える。

行動計画策定

ギャップ分析の結果、ESRSの要件と現在の開示状況にギャップがあることが明らかとなった項目については、「データは存在するが非財務報告に掲載されていない」「間接的なデータはあるが、さらなる整理が必要である」「必要性を認識しているが、データの収集は行われていない」など、現状を細分化して示し、CSRDに準拠するために実施すべき対応を優先順位とともに明確化してコンプライアンスへのロードマップを作成する。対応に必要な業務量の見積もりも示す。

また、NTTデータスペインのサステナビリティ専門家およびクニエのコンサルタントが専門的知見からその対応を支援することで、適切なサステナビリティ情報の整備も図れるとのことだ。