アドビは6月25日、米国、日本、欧州を含む世界6000人以上の消費者を対象に実施した、インターネット上のフェイク情報や生成AIの影響についての調査結果を公表した。今回の調査で、多くの消費者が政府とテクノロジー企業が協力してディープフェイクや誤情報から選挙の公正性を守るべきだ考えていることがわかった。
今回の調査は、デジタルコンテンツの信頼性を検証するツールの必要性や、誤情報が選挙の公正性に与える影響についての消費者の懸念を明らかにしたもの。特に、米国大統領選挙を前に、公平な選挙におけるデジタルコンテンツの影響力についての指標になるとしている。
「選挙候補者の生成AI使用を禁止にすべき」米国で78%
調査の結果、近年オンライン上で情報の透明性を確保することが困難になり、消費者は誤情報が拡散することについて危機感を感じていることがわかった。
米国で70%、日本で68%の消費者が、オンラインコンテンツの信頼性を確認するのが難しいと感じており、米国で84%、日本で83%がオンラインで接するコンテンツが改ざんされやすく、誤情報になることに懸念を表明している。
また、米国で76%、日本で57%と過半数以上の回答者が、コンテンツが生成AIで作られたかどうか判別できることが重要であると回答した。
さらに、多くの消費者(米国80%、日本73%)が、誤情報や有害なディープフェイクが将来の選挙に影響を与えるだろうと考えていることが判明。
加えて、米国で78%、日本で61%が選挙候補者がプロモーションコンテンツに生成AIを使用することを禁止すべきと回答し、米国の83%、日本の72%は政府とテクノロジー企業が協力して、ディープフェイクや誤情報から選挙の公正性を守るべきだと考えていることもわかった。
アドビの取り組み
アドビは、説明責任、社会的責任、透明性というAI倫理原則に基づき、コンテンツの作成、変更、公開のプロセスを明らかにする、いわば「成分表示ラベル」のような役割のメタデータである「コンテンツクレデンシャル」の普及に取り組んでいる。
また、同社はデジタルエコシステムの信頼性向上に向けて2019年、Content Authenticity Initiative(CAI)を設立。
現在、CAIはテック、政策、およびメディアに関連する企業、クリエイティブプロフェッショナル、研究者など3,000以上のメンバーを擁するグローバル組織として、デジタルコンテンツに透明性を持たせるために協力しているということだ。