【「FUJIMI」「GINZUBA」の展望は?】トリコ 花房CEO、加藤氏「オフラインを効果的に活用」

ポーラ・オルビスグループのトリコは今年、パーソナライズビューティーケアブランド「FUJIMI(フジミ)」とヘアケアブランド「GINZUBA(ギンズバ)」において、さらなる成長を図る計画だ。「FUJIMI」ではプロテイン飲料以外の商材販売、「GINZUBA」では3層補修トリートメントに続く新商品を販売し、さらなる顧客獲得を目指していく。花房香那CEOに「FUJIMĪ」の昨年の振り返りと今年の展望、ブランドマネージャーの加藤敏美CO‐Founderに「GINZUBA」の状況と今後の展望などについて聞いた。

<市場は拡大傾向>

ーー2023年に「FUJIMI」をリブランディングした。その後の「FUJIMI」の成長はどうか?

花房:プロテインをはじめ、多くの人から商品を購入してもらっている。「FUJIMI」は2019年に立ち上げたブランドだ。ブランドの立ち上げ背景には私の実体験が関係していた。世の中には多くの商品が流通し、どの商品が私の身体に必要なものなのかが分かりづらくなっていた。手軽にその人にとって最適な商品を摂取できる。このことを念頭に置き、消費者に合わせた成分をパーソナライズで届けるというコンセプトを軸に、フェースマスクやプロテインなどを販売してきた。

現在ではブランド誕生当初と比べて、世の中にパーソナライズの概念が広まり、パーソナライズをテーマとしたブランドも増えた。そのような状況の中で、改めて、「『FUJIMI』はパーソナライズを通して顧客に何を届けるのか」を見つめ直すことにした。

「FUJIMI」では、プロテインだけではなく、スキンケアの商材も販売し、「パーソナライズビューティーケアブランド」として、変化するお客さまの人生に伴走し、自分らしく輝く人生をサポートしていくことにした。リブランディング後も、プロテインの販売は好調だ。プロテインは市場が拡大傾向にあり、ポップアップショップでもプロテインに興味を寄せる人が多かった。

ーー「FUJIMI」では、今年どのような販売戦略を掲げているのか?

花房:プロテインを取る人、プロテインに興味を持つ人が多いため、プロテインはまだ需要が高いと考えている。当社としては、今年もプロテインを中心とした商品の販売に注力していく。プロテイン関連商材を拡充することにより、プロテインを飲料として飲むことに飽きた人や、飲料として取ることに抵抗がある人からの購入にもつながりやすくなるだろう。

このほか、カスタマーサポートも強化していく。当社の「FUJIMI」の考え方は、その人に合った美容をサポートすること。過去の調査でも、当社の顧客は「きれいになりたい」と思う人が多い。

そのため、顧客対応でも、よりその人に適した高精度な対応、よりきれいになれる情報を「LINE」で発信していくことなどを検討している。商品だけでなく、カスタマーサポートでも、顧客のきれいになりたいという思いの実現に向けてサポートしていく。

ーー2023年は頻繁にポップアップショップを展開していた。手応えはどうだったか?

花房:ポップアップショップは、ほぼ毎週のペースで実施していた。「ららぽーと」や「イオンモール」などに出店してきた。主にファミリー層がいるところへ積極的に出店してきた。プロテインに関しては、その場で購入してくれる人が多かった。プロテインは味への不安が大きい。そこで”試飲”を行い、味への不安解消に注力した。さらに豊富な美容成分が入っていることをきちんと伝えて、購入につなげてきた。

ーー「FUJIMI」はこれまでウェブ広告を中心に集客を図ってきたと思う。近年のEC市場はCPA(顧客獲得単価)の上昇が問題視されている。貴社は今後もウェブ広告を中心に集客を図るのか?

花房:広告だけでなく、先ほども申し上げたようなオフライン展開もうまく活用して、集客拡大を目指していく。

<「GINZUBA」の出足は好調>

ーー2023年8月に新たにヘアケアブランド「GINZUBA」をリリースした。これまでを振り返ってどうだったか?

加藤:SNSを中心に盛り上がり、多くの女性からの購入につながった。リリース前の先行販売会として、2023年8月2~8日、東京・伊勢丹新宿店にてポップアップショップを開設した。このポップアップが想定以上に盛り上がった。

当社からインフルエンサーをポップアップイベントへ招待したが、それ以外にも多くのインフルエンサーに来ていただけて、ポップアップショップのことや「GINZUBA」のことを発信してくれた。ここから連鎖的にそのインフルエンサーの投稿を見た人が来店し、商品を購入し、SNSに投稿してくれた。そしてまたお客さまが来店するという流れにつながった。

期間限定のポップアップショップでは、計画の2倍以上の販売、300件のUGC(ユーザー生成コンテンツ)が発生した。「GINZUBA」はブランドを立ち上げてから、毎月成長を続けている。売り上げ、顧客数ともに右肩上がりだ。

ーーなぜそれだけ連鎖的な反応につながったのか?

加藤:商品力は欠かせない。「GINZUBA」は3層補修トリートメント機能でまとまる髪を作る。ヘアサロンで行うプロ用トリートメントと同程度の高品質の髪質を自宅にいながら実現することができる。この確かな商品力に共感し、購入してくれた人が多かったと思っている。

あとは、ポップアップショップの見た目だ。「GINZUBA」は「FUJIMI」と異なり、”黒”をテーマにしている。これは東洋人(アジア人)の黒髪をターゲットに製品開発をしているため、ブランドカラーを”黒”に定めている。ポップアップショップでも”黒”をベースにした店舗展開にすることで、施設に訪れた人に「このお店は何だろう?」と興味を持ってもらいやすくなる。この点も関係していると考えている。

ーー今後の「GINZUBA」の展望は?

加藤:今後は顧客との対話とアプローチを強化していきたい。「GINZUBA」においては、サンプル、テスター提供からの商品購入においての導線は、まだハードルが高いと感じている。この点はしっかりと会社全体で考えなくてはいけない。

 

あとはサブターゲットも取り込んでいきたい。「GINZUBA」のメインターゲットは40代以降の豊かに自分の生活を楽しんでいる人だ。今後は20~30代の男性女性へ「GINZUBA」の認知を広げることでブランドの幅を広げていきたい。

そのためにも、新商品の販売が重要となる。ブランドテーマでもある、機能性がありつつ、使っていてテンションが上がる商品を開発していきたい。髪の美しさを実現するのは、ヘアケア商品だけではない。髪を彩る商品を幅広く販売していきたいと考えている。

「香水」も一般的な概念とは異なり、髪に付けることで、栄養を補給できることを目指している。「ヘアケアブラシ」は、”アホ毛”を抑えるものだが、世の中的には消費材として使用されている。消費材ではなく、高級感があって、使うだけでエレガントな気持ちになるデザイン性の高い「ヘアケアブラシ」の販売を構想している。香水もブラシも市場には溢れている。市場にはない商品で、使用するだけでワクワクする商品の販売を考えている。

ーー顧客との対話についても伺いたい。

加藤:ウェブでは、商品の便益性や機能性を記載した広告のLP(ランディングページ)を活用したり、インフルエンサーのクリエーティブを活用している。ウェブの広告では、”話者”を変えることが重要だ。当社が商品の魅力をただ伝えるのではなく、実際に商品を使用した第三者目線での投稿を重要視している。「GINZUBA」を使用してよかった感想やレビューを第三者目線で広告として運用することで、人に刺さりやすくなる。

ーー今後の集客方法は?

加藤:ウェブ広告は前出の通りだ。あとはオフライン展開を実施していく。2~3カ月間に1度のペースでポップアップショップの出店を行っていく。出店場所は都市部を考えている。