東京商工リサーチは6月17日、第2回「2024年問題」に関するアンケート調査の結果を公開した。2024年4月、建設業や運輸業などで時間外労働の上限規制が適用されたが、これに伴う問題が「2024年問題」といわれている。

「2024年問題」が経営に「マイナス」の影響と回答した企業は半数超

「2024年問題」が経営に「マイナス」の影響と回答した企業は55.3%と半数を超えたという。前回の調査(2023年10月)の61.9%から6.6ポイント改善したが、依然として企業経営に影響を及ぼしていることが明らかになった。

「マイナス」の回答を規模別で見ると、大企業が62.9%(前回68.0%)、中小企業が54.4%(同60.9%)といずれも前回から改善した。大企業が中小企業を8.5ポイント(同7.1ポイント)上回り、大企業ほど「マイナス」影響が大きいと回答した。

「マイナス」の回答が最も多かったのは卸売業

産業別で「マイナス」が最も多かったのは、卸売業(65.8%)だった。これに、建設業64.1%、製造業60.7%が続いている。前回調査と比べ、農・林・漁・鉱業を除く9産業で「マイナス」の構成比が低下したという。

  • 産業別「2024年問題」の影響 引用:東京商工リサーチ

業種別で、「マイナス」が最も高かったのは「パルプ・紙・紙加工品製造業」の85.7%だった。一方、「プラス」の回答は、「2024年問題」が直撃した「道路貨物運送業」が12.5%で最も高かった。同社は、この点について、価格交渉やドライバーの待遇改善に率先して取り組んだ企業にはメリットが生じてきた可能性を指摘している。

「2024年問題」が及ぼす「マイナス」の影響

「2024年問題」の「マイナス」の影響は、「物流・建設コスト増加による利益率の悪化」が71.4%で最も高かったという。「労務管理の煩雑化」も全産業で17.4%(前回15.9%)と上昇した。建設業が42.4%(同35.7%)、運輸業が50.0%(同43.2%)と上昇し、構成比を押し上げたという。