サイバーセキュリティー企業の米Splunk(スプランク)は6月11日(米国時間)、システムダウン時のコストに関するグローバル調査の結果を発表した。これによると、フォーブス・グローバル2000企業(世界の企業を売上高、利益、保有資産、時価総額に基づき順位付けしたもの)のダウンタイムコストは総額で年間4000億ドルに達することが判明した。

  • 米スプランクは11日、システムダウン時のコストに関するグローバル調査の結果を発表した

    米スプランクは11日、システムダウン時のコストに関するグローバル調査の結果を発表した

同調査におけるダウンタイムとは、処理の遅延や速度低下などのサービス低下、および重要な業務システムをエンドユーザーが利用できなくなることを指す。ダウンタイムは、直接的な経済的損失につながるだけでなく、組織の投資価値、ブランドイメージ、イノベーション力、顧客からの信頼を低下させる。同社によると、デジタル環境で予期せぬ障害が発生すると、1社あたり年間利益の9%の損失が生じるという。

スプランクは世界的な大企業の2000人の経営幹部を対象に調査を行った。同調査結果によると、ダウンタイムインシデントの56%がフィッシング攻撃などのセキュリティインシデントに、44%がソフトウェアの障害などのアプリケーションやインフラの問題に起因しており、どちらの場合も人的ミスが原因として最も多いことが分かった。また、ダウンタイムによる収益の損失は年間で4900万ドルにのぼり、その回復には75日かかかることも判明した。

システムダウンの発生は、イノベーションが停滞する原因にもなる。調査対象となったテクノロジー部門幹部の74%がダウンタイムによる製品リリースの遅れ、64%が開発者の生産性低下を経験しているという。

世界の地域別に見ると、年間の平均ダウンタイムコストが最も高いのは米国で、規制の罰金やデジタルインフラの状況など、さまざまな要因がコストを押し上げている。欧州の平均コストは1億9800万ドル、アジア太平洋地域は1億8700万ドルだった。

スプランクは、デジタルレジリエンスの強化につなげるためには、セキュリティへの投資や生成AIの活用、復旧速度の向上などが必要だとしている。

スプランク ゼネラルマネージャーのゲイリー・スティール氏は「ビジネスの中断は避けられない問題。デジタルシステムで予期せぬ障害が発生すると、収益が大幅に低下したり規制違反として罰金が科されたりするだけでなく、顧客からの信頼を失いブランドイメージが損なわれるリスクがある。デジタル環境全体で問題をすばやく検出して修復するための、セキュリティとオブザーバビリティに対する統合的なアプローチを取り入れるべきだ」とコメントしている。