三菱総合研究所(MRI)は6月10日、総務省からの請負事業の一環として、地方自治体・消防・自衛隊などの公共安全機関相互の連絡・情報共有をサポートする「公共安全モバイルシステム(旧公共安全LTE)」の実証試験を実施し、実運用可能であることを検証したことを発表した。
同システムは、訓練や日常業務を含むさまざまな場面において、また、実証期間中の1月1日に発生した能登半島地震に際しては、被災地の複数の機関で有効に活用されたという。
公共安全モバイルシステムの概要
公共安全モバイルシステムは、携帯電話技術に基づく公共安全機関専用の通信システムで、実証試験などを経て2024年年4月から実運用が開始された。
同システムは、災害時優先電話のほか、複数の携帯電話網を利用可能なマルチキャリア機能、混雑時でも影響を受けにくい専用設備など、多くの特徴を備えている。
また、市販されているスマートフォンを用いて、Push to Talk(PTT)、チャット、画像や動画の送信、リアルタイム映像伝送、Web会議、地図や位置情報の共有など、複数機関間での連携を支援するアプリケーションの利用が可能。
実証試験の概要と結果
2023年11月から2024年3月まで関係省庁および地方自治体など35機関が参加した実証試験では、MRIが公募を通じて選定したアプリケーションとともに、全1027台の公共安全モバイルシステム用端末と複数の携帯電話網に接続可能なマルチキャリア機能や専用設備を備えたネットワークを活用し、実運用に向けた検証を実施した。
うち220台は、能登半島地震の被害が大きかった七尾市および輪島市をはじめとする被災地域において、消防機関などの関係者に被災直後から現在まで活用されているという。
救急活動や行方不明者の捜索活動、派遣元・派遣先間の情報連携・情報共有への使用など、被災地における関係機関の活動に寄与し、実運用における耐性ならびに有用性が確認された。