エクサウィザーズのグループ会社であるExa Enterprise AIは6月10日、「生成AIの利用実態調査」の結果について公表した。同調査は5月27日および29日に開催した生成AIセミナーにおいて実施したもので、今回で4回目となる。セミナーに参加した302社402人が回答した。
この調査では、ChatGPTをはじめとする生成AIの業務における利用状況を、レベル1(関心なし)、レベル2(関心はある)、レベル3(試しに利用)、レベル4(時々使用)、レベル5(日常的に使用)の5段階に分類している。
生成AIの活用はRAGを前提とした取り組みへ
2023年4月に実施した第1回調査では、レベル5(日常的に使用)の回答はわずか7.2%だった。しかし、今回の調査では35.8%まで増加していた。2023年12月実施の第3回調査からも4ポイント増加し、他レベルと比べて増加した差が最も大きい。
RAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)は、社内や組織内の独自のデータを生成AIで加工できる機能であり、生成AIを活用する際により正確な回答が得られるといった理由から注目される。
RAGの活用状況について聞いたところ、「取り組み済み」および「取り組み中」を合わせると約5割、「関心あり」が約4割という結果となり、そのうち4%が定着して実効果を感じていることが明らかになった。生成AIの活用はRAGの活用が前提の時代へと移行しつつある。
RAGを活用する際の課題について聞くと、特にデータに関わる課題を抱えているとの回答が多く、「必要な情報がデータ化できていない」「データはあるが形式はバラバラ」などが挙げられた。
生成AIの活用レベルが高い組織においては、データに関わる課題から「前処理が不十分で精度が上がらない」「利用者や経営陣の期待値が高すぎる」といった課題へ移っているという。
生成AIの活用定着に必要なことは
生成AIを全社導入している企業が急拡大し、2023年12月に実施した前回の調査結果である34.2%から、54.9%へと増加した。全社的な導入が広がったことで、社内での連携や情報共有が強まり、日常的な利用(レベル5)の増加につながったことがうかがえる。
また、組織内での利用率について質問すると、「3割程度の社員」以下が約7割弱だという。その一方で、社内利用率100%の企業では前回の調査よりも活用促進における平均施策数が1.8から2.4に増加している。特に「プロンプトの共有」に取り組んでいる組織は5割超という結果となり、積極的な活用促進活動を実施しているそうだ。活用促進策として「プロンプトの共有」の他にも「良い社内活用事例の共有」などが挙げられた。
部署や組織内に生成AIの活用を定着させるために必要なこととして、27.4%が「RAG(社内データ連携)」と回答し1位となった。特に社内利用率が「8割程度の社員」以上と回答した人のみ集計すると、RAGの活用が定着化に必要だと考えている人の割合が4割とさらに高くなることが明らかになった。