NTTファシリティーズは5月27日、次世代型のデータセンタープロジェクトを開始すると発表した。同プロジェクトでは、データセンターのカーボンニュートラルへ貢献する、全面的に液冷方式サーバを採用した次世代型データセンターを構想、2030年頃までの実現を目指す。

液冷方式で消費電力量削減

現在、高性能・高発熱なサーバーを効果的・効率的に冷却する仕組みが求められており、主流である空気で冷却する方式(空冷方式)に変わる新たな冷却方式として、冷却液をサーバに直接送り込み、コールドプレートで冷却する「液冷方式」サーバが登場し、普及が始まっている。

同プロジェクトでは、データセンターに設置されるサーバをすべて液冷方式サーバとすることで、サーバの発熱量の約65%を液冷方式により冷却でき(残りの約35%は空冷方式)、データセンター全体の消費電力量の約205を占めるサーバ冷却用消費電力を約50%削減することが可能と試算されている。これにより、データセンターのカーボンニュートラルの達成に貢献する。

サーバを格納するデータホールは液冷のCDUとして機能する「LCMR(Liquid Cooling Machine Room)」と、空冷を担う「ACMR(Air Cooling Machine Room)」を分けて配置することによりセキュリティを担保する。

  • 液冷サーバー用データホール モデルプラン

プレクールコイルウォール利用で外気による自然冷却

次世代型データセンターでは、熱伝導率の高い銅管を用いた「プレクールコイルウォール」を建物外周にラジエーター状に張り巡らせ、サーバの熱により温まった液冷サーバの冷却水を循環させることで、外気により自然冷却する。

また、周囲に水盤を取り入れることにより、水盤からの気化熱によって更に放熱を促進する。これにより、冷却に必要な設備消費電力量を低減し、冬季や中間期等の外気条件等によっては「プレクールコイルウォール」のみで冷却を完結させることも可能と試算しているという。

  • 次世代型データセンター イメージパース(建物外周を囲む銅管がプレクールコイルウォール)