【海外奮闘記<後編>】KAMEREO INTERNATIONAL 田中卓代表「ベトナム事業で上場を目指す」

2018年6月に創業し、ベトナムでBtoB-ECサイト「KAMEREO(カメレオ)」を展開するKAMEREO INTERNATIONALがさらなる成長フェーズに入ろうとしている。ベトナム現地での物流拠点の拡大や流通加工の参入などで成長を加速させていく。これらの施策を投じることでの成長が見えており、同社はベトナムでの事業を通じて株式上場も視野に入れている。

――スタートアップの強みとは?

資金調達しながら事業展開できることだ。

 

当たり前のように聞こえるかもしれないが、ベトナムはこの辺りの事情が異なる。収支が赤字になる事業に手を出さないため、当社の事業のように、売り上げを作るために先行投資して事業を進めることがない。最初から違いがあるため、スタートアップの良さが生きる。

 

ただ、当社もサービス開始の当初は何も実績がないため、仕入れする契約農家と取引さえできなかった。1日に何キロ欲しいという要望も「そんな小さなキロ単位では取引できない」と断られる。そこに、人件費コストや倉庫費用も加算される。

 

カメレオでの事業収支の鍵は食材の原価率。率が調整できれば時間とともにプラスに転じる。最初はマージンゼロの赤字覚悟で進めていく必要がある。これらを理解頂いた上でVC(ベンチャーキャピタル)や個人投資家などから資金調達して事業を拡大させている。

 

昨今は有難いことに、さまざまVCや投資家から資金調達できるようになった。直近だと今年3月に3億円超の資金調達をアナウンスした。改めて、当社への期待値が高まっている印象を受ける。

<現地で日系企業を支援>

――ベトナム市場に日本企業も攻勢かけていると聞く。実際はどうか?

実際に現地で見ているためよく分かるが、多くの日本企業がベトナムに進出している。

 

ある日本企業のコンビニを例に取れば、1週間1店舗のペースで出店している。それだけ、ベトナム市場は空白地帯であることだろう。

 

これは当社にとって非常に追い風で、日本では出来ない大手企業との取引が生まれている。すでに、日本企業の飲食店やコンビニには当社の野菜を供給している。こうしたタイミングに当社が先行して食品流通のインフラを作っているため、日本企業とともに現地で成長していくことが出来ている。当社がいるところが大きなポイントだ。

<さらなる成長フェーズへ。株式上場も視野に>

――これからの成長や施策について聞きたい。

ここ数年で、ベトナム南部で一定規模の食品流通インフラを一気に整えることができた。これからはウェブマーケやPR、物流拠点や取扱商品の拡大、ベトナム国内の地域展開などを進めて事業収支を伸ばすフェーズに入っていく。

 

ウェブ関連は、SEOに力を入れてオーガニックな検索流入を増やしていく。PRは現地での認知拡大を進めながら、日本でもPRを強化する。ベトナムに進出したい日本企業の支援も進める。特に大手企業と組んでいきたい。

 

物流拠点では、すでに2拠点目が完成しつつある。さらにその先の3拠点目もどこに設けるかほぼ決めている。これら3拠点の位置関係や交通インフラを考慮して、シナジーを生み出しやすいようにしている。

 

物流拠点が拡大すれば、供給量だけでなく、取扱いアイテムも増やせる。昨今は、食品の流通加工にニーズがあることが分かった。当社も流通加工できる倉庫設計や運営体制を敷いていくつもりだ。

 

数年先となるが、これら全てが整うことで巨大な食品流通インフラが出来上がる。流通額も一気に跳ね上がる試算ができているため、食品流通インフラ事業をもとに上場も目指していくつもりだ。

◆【海外奮闘記 <前編>】KAMEREO INTERNATIONAL 田中卓代表「ベトナム最大の食品流通網を構築」

https://netkeizai.com/articles/detail/11395