リボン・コミュニケーションズは4月24日、記者説明会を開催し、事業戦略を説明した。同社は日本ソナス・ネットワークスとして2001年に日本法人を設立、音声コミュニケーションの分野で事業を展開してきた。
2017年にSonus NetworkとGENBANDが合併して、Ribbon Communicationsが設立された。2020年にECIテレコムを買収し、IP&光伝送ソリューション市場に参入した。現在は、音声関連、IP&光伝送ソリューションを主な事業領域としており、世界136カ国でサービスを提供している。
カントリーマネージャーの日野達基氏は、「ECIテレコムが日本市場で事業を行っていなかったため、IP&光伝送ソリューションのビジネスはゼロからの出発となった。しかし、複数の大手サービスプロバイダーの全国規模に採用されており、シェアを拡大しつつある」と述べた。
また、日野氏は「IPオプティカルに参入した4年前、正直不安だった。しかし、市場が硬直化していたため、ニューカマーが歓迎された。中国企業のビジネスが難しくなっていたことから、中国企業に代わるベンダーが求められていた。われわれは競争力がある価格、求められる機能をオンタイムで提供することで勝負する」とも語っていた。
IP&光伝送ソリューションの主要な3つの製品群
IP&光伝送ソリューションとしては、以下の主要な3つの製品群を提供している。
- 光トランスポートシステム「Apollo」
- IPルーティングシステム「Neptune」
- ドメイン・オーケストレーター「Muse」
サービスプロバイダ営業部 本部長 宮下泰彦氏は、IP&光伝送ソリューションについて、「ミドルマイルにおいて、通信事業者のTCO削減に寄与することにフォーカスしている」と述べた。
宮下氏は、通信業界では高速回線への移行が始まっていることから、1GEから40GEまで対応するApollo 9600シリーズが国内で伸びていると説明した。また、Apollo 9900シリーズは低速回線の集線、OTNによる高速化、クロスコネクト機能によるグルーミングによって、ネットワークの柔軟な活用を実現するという。「Apolloは機能に見合った価格で提供し、低速から大容量までカバーできるのがウリ」と、同氏は語っていた。
また、「Neptune」シリーズは、IPルータの標準機能を提供したうえで、IPと光伝送をバランスよく提供するところ、マルチサービス対応が強みだという。
エッジではさまざまなサービスを処理するが、従来、サービスごとに装置を用意していたが、ユーザーとしては一つのデバイスですべてのサービスを処理したいと考えているという。同社はこうしたユーザーのニーズに応えるべく、マルチサービスに対応している。
最後の「Muse」は、SDNアプリケーションスイートであり、「FCAPS」「SDN対応」「ネットワークプランニング」といった機能を提供する。SDN対応においては、ネットワークとサービスのライフサイクル機能を、人間からインテントベース、降るマシンコントロールに移行し、自動化を実現する。
「Muse」は昨年にリリースしたばかりということで、宮下氏は「IPとオプティカルを一気通貫で管理できるのが強み。日本の市場に受け入れられる形で、提供していきたい」と述べた。
クラウド化が進む音声コミュニケーション製品
音声関連の製品・サービスに関しては、システム技術部 シニアマネージャー 桑原良和氏が説明を行った。
桑原氏は、サービスプロバイダーの動向について、「固定電話網(PSTN)の廃止に伴い、IPの相互接続に必要なゲートウェイ装置の導入は済んでおり、PSTNマイグレーションは202年1月までに完了する見込み。これまで、音声装置をクラウド化することは進んでいなかったが、現在、クラウド化が進んでいる。その中で、運用の自動化、サービス展開の迅速化が求められている」と説明した。こうした背景から、昨年にクラウドネイティブな製品をリリースしたという。
MVNOにおいては、音声も自社で提供する動きが出てきており、スモールスタートを可能にする規模のコアが求められているとのことだ。
加えて、企業ではコロナ禍でリモートワークが増えたことから音声を含むユニファイドコミュニケーション(UC)の導入が進んだが、オフィス回帰により鈍化。ただし、今後もPBXからUCへの置き換えは続くとの見方を桑原氏は示した。
音声関連の製品やサービスは、SBC(Session Initiation Protocol)や複数のUCプラットフォームに対応したSBCaaS、4G/5G向けIMS、ネットワーク管理ツール、ロボコールによる電話詐欺対策ソリューションなど、幅広いラインアップとなっている。