京都府城陽市教育委員会およびNTT西日本、NTTスマートコネクトは4月8日、城陽市内の適応指導教室にて、不登校の児童生徒に対して、学び合い、自主性を促進する、新たなる学びの場の確立を目指して、NTTスマートコネクトが開発した「3D教育メタバース」を導入することを発表した。

なお今回の取り組みは、同日から2025年3月31日までの期間で実施される予定。

取り組みの背景と目的

国内における小中高校生の不登校者数が30万人に急増している中、90日以上の欠席があり、適切な支援や相談を受けていない児童生徒は、約4万6000人に上るという。

これに対し、文部科学省は「不登校によって学習機会を失う子どもを1人も出さない」という目標のもと、「誰もが学び続けられる環境を保障する不登校対策(COCOLOプラン)」を策定した。

城陽市では、この問題に対応するため、不登校児童生徒に対して適応指導教室での学習支援や体験活動を通じ、学習の喜びや仲間とのつながりを感じ取る機会を提供し、社会的自立を促進していることに加え、オンラインによる支援機能を強化し、安心できる居場所や多様な学び場の必要性を感じていたという。

取り組みの概要

これらの背景を踏まえて実施される今回の取り組みは、実際の仲間の存在感や距離感を感じられるよう設計された3Dメタバース空間を用い、参加者が性別や外見に関する懸念を超えて自由に自己を表現できるアバターを介したコミュニケーションを促進するもの。

同空間は、協力的な学習体験、授業活動、および各種イベントの実施に活用されることを目指している。今回の取り組みにより、不登校の児童生徒が社会的スキルを培い、学びの場への再統合を支援する新しい道が開かれることを期待しているという。

  • 3D教育メタバースの仮想空間イメージ

    3D教育メタバースの仮想空間イメージ

城陽市では、ふれあい教室(適応指導教室)においてメタバースの導入を進め、その成果を踏まえ、ふれあい教室に通室していない不登校児童生徒に支援の対象を拡充していく方針。将来的には、この教育プログラムを学校の教育活動に活用し、個別最適な学びと協働的な学びを実現するとともに、誰もが自らの力で未来を切り拓く力を身に付け、次代を担う人材の育成を展望している。