楽天モバイルと楽天シンフォニーは2月28日、AIでRAN(無線アクセス・ネットワーク)を管理・制御する「RAN Intelligent Controller」(RIC)を使用し、4Gおよび5GのOpen RANにおいて最大25%の消費電力削減が可能なことを実証したと発表した。
今回の実証では、楽天シンフォニーが開発するRICがインテリジェント・インターフェースを通じて、RICプラットフォーム上のアプリケーションであるrAppsとxAppsの間を接続することでネットワークにおけるトラフィックのパターンを解析し、消費電力削減に関するポリシーを設定できるようになったことを確認した。
これにより、特定の基地局の利用状況に応じた柔軟な制御が可能となり、ネットワーク運用を効率化できるため、より大幅な省エネルギーの実現が期待できる。RICは、非リアルタイムRIC(Non-RT RIC)と準リアルタイムRIC(Near-RT RIC)の制御周期の異なる各プラットフォームにより構成し、RANおよび基地局を制御し、関連するパラメータを迅速に変更するという。
Non-RT RICは、RAN制御に要する処理時間を1秒以上とし、Non-RT RIC上でrAppsを動作させることで、RAN制御に関する各種情報の分析やポリシーを生成する。
またNear-RT RICは処理時間を10ミリ秒から1秒とし、Near-RT RIC上でxAppsを動作させることで、機械学習を通じたネットワークにおける過去のトラフィック・パターンの解析などの処理を行うという。
これにより、ユーザー体感に影響を与えることなくアンテナ構成を調整してOpen RANのパフォーマンスを向上し、消費電力削減が可能になる。今回の実証では、xAppsがリアルタイムにトラフィックを監視できることを確認した。
一方、楽天シンフォニーが開発するRICプラットフォームは、Non-RT RICとNear-RT RIC機能を個別にサポートするとのこと。
5Gに加えて4GのOpen RANにおいてもO-RAN仕様に準拠することで、O-RAN仕様に準拠した集約ユニット(CU)・分散ユニット(DU)に接続可能という。
rAppsとxAppsの機能の柔軟な展開をサポートし、マイクロ・サービスやコンテナ・ベースのアーキテクチャを採用した、拡張性の高いプラットフォームとしている。
なお今回の実証の成果は、楽天モバイルが情報通信研究機構(NICT)による「Beyond 5G における高度 RAN 基盤を実現するOpen RAN無線通信技術の研究開発」の委託研究開発の取り組みの1つとして、「MWC Barcelona 2024」で発表したとのことだ。