千葉大学医学部附属病院の次世代医療構想センターとNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は2月9日、データを秘匿化したまま分析可能な「析秘」を活用して自病院と二次医療圏単位で薬剤耐性菌の出現状況を可視化するベンチマークシステムを開発したことを明らかにした。
地域間ベンチマークシステムを開発
今回両者が開発したシステムは、中小規模を含む医療機関の薬剤耐性菌の動向調査と、その対策を行うために開発したという。データを秘匿化したまま分析可能で、自病院と二次医療圏で薬剤耐性菌の出現状況を可視化し比較できる特徴を持つ。
中小規模の医療機関は都道府県単位の薬剤耐性菌動向調査への協力は抵抗感が低い傾向があるようだが、より細かな地域単位での調査の場合には、自施設の動向を近隣施設に知られることへ懸念がありデータ共有が進まない課題がある。これに対し同システムはデータを秘匿化したまま分析可能なため、各施設の情報を保護しつつ動向調査を実施可能。
また、同システムは「院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)」で収集しているデータをもとに、自病院、二次医療圏および都道府県単位で薬剤耐性菌の出現状況を可視化し、ベンチマーク可能だ。ベンチマークした情報は自病院の薬剤耐性菌対策への基礎情報としても役立てられる。
千葉県内で実証実験を開始
NTT Comらはこのシステムを活用して、千葉県における薬剤耐性菌動向調査研究に2024年2月から取り組み、薬剤耐性菌の課題解決を目指すとしている。県内9つの病院で厚生労働省の院内感染対策サーベイランス事業で収集している細菌検査データを、各病院の薬剤耐性菌出現状況を秘匿化した状態で分析し、自病院、二次医療圏および都道府県単位での薬剤耐性菌の状況を可視化する。