日立製作所は2月1日、統合システム運用管理「JP1」のSaaS版である「JP1 Cloud Service」において、生成AI(人工知能)を用いた運用効率化・自動化に関する実証実験を開始した。この結果を基に、運用オペレーターの障害対応を支援する生成AIアシスタントの質問応答機能を、2024年4月を目標に提供する予定だ。

  • 生成AIアシスタントによる運用効率化・自動化の将来像

実証実験の概要

今回の実証実験では、生成AIを対話形式で容易に利用できるという生成AIアシスタント(開発中の機能)を使用して、運用オペレーターがシステム監視中に発生する各種イベント(メッセージ)への対応の効率化を想定し、生成AIの応答内容の正確性などを検証する。

  • 実証の概要

実証環境は、開発中のJP1 Cloud Serviceシステム管理 と、接続する生成AI環境としてAzure OpenAI ServiceおよびAmazon Bedrockを準備した。

実証に利用する入力データは、同社のマネージド・サービス部門のシステム運用業務を想定した運用マニュアルなどのドキュメント類、および疑似的に発生させる運用イベントなどの運用管理データを利用する。

主な実証内容は、まず生成AIアシスタントがオペレーターに代わり、発生した障害イベントに応じた質問文を自動作成する。作成した質問文に対し、生成AIが運用マニュアルや公開技術情報を基に応答し、その応答内容(対処方法)に誤りが無いかなどを、専門家が評価する。期間は3月29日までの予定。

生成AIアシスタント4月より提供開始

同社は今回得られる結果を基に、JP1 Cloud Serviceにおいて生成AIアシスタントを、2024年4月を目標に提供予定だ。

また、クラウドシステム運用の改善とその成熟度を向上するマネージド・サービスである「Hitachi Application Reliability Centers(HARC)サービス」に携わるSRE(Site Reliability Engineering)エンジニアと連携して、クラウド運用の自動化のためのコード生成といった先進的なユースケースの実用化にも取り組んでいく。