IBMは1月19日、消費財や小売業界の企業向けのサプライチェーン、財務業務、販売やサービスの強化を支援する生成AIを活用したソリューション開発においてSAPと協業することを発表した。

開発予定のソリューションの概要

IBM Consultingは、SAPとの協業のもと、店舗直送のビジネス・プロセスや商品ポートフォリオ管理の複雑性に対処することに重点を置いた生成AIおよび従来型AIを活用した新しいソリューションを開発する。

開発予定のソリューションは、消費財企業や卸売業者、小売業者が、店舗レベルの品揃えをより効率的に管理したり、商品流通を改善したりすることで、収益増加の促進することを目的としたもの。なお、これらの実現のために「輸送計画と運行の強化」「店舗レベルでの品揃えの最適化」「注文決済の自動化」の3点からアプローチするという。

  • 輸送計画と運行の強化
    IBMは、SAP Direct Distributionソリューションに天候、交通、地域イベントなどの外部データを送り、AIを適用して消費財企業が最適な店舗配送ルートを特定し、コストやカーボンフットプリント削減の支援を計画している。情報はリアルタイムで更新され、その情報をもとにドライバーは地域の状況に応じて配送ルートを臨機応変に変更が可能となっている。

  • 店舗レベルでの品揃えの最適化
    IBMは、各店舗の市場動向、過去の販売パターン、需要予測や現在の商品構成に基づいて店舗レベルで品揃えができるように、AIおよび生成AIの適用を計画している。このソリューションは、具体的なおすすめ商品の提案ができるようにすることを目指しており、売上最大化と商品廃棄最小化に向け、店舗の品揃えに十分な商品を追加するための事前計画なども含まれる。

  • 注文決済の自動化
    店舗への直接配送は複雑であるため、しばしば取引の自動決済が妨げられることがある。今回の協業を通じて、自動化とインテリジェント・ワークフローを使用して業務効率を向上し、SAP Direct Distributionのラスト・ワン・マイル配送コンポーネントのAIに基づいて決済精度の向上を支援するソリューションを開発する。

IBM Consultingは、これらのソリューションをSAP Business Technology Platform上に構築し、APIを通じてwatsonxと統合する予定としている。倉庫計画担当者、最前線にいる配送担当者、顧客担当者は、watsonx Assistantを活用したIBMの会話型検索機能を活用したチャットボットの開発により、充実したユーザー体験を得ることが可能となる。