【ECモールに聞く!2024年の戦略】『Qoo10』金載敦氏「2024年はオフライン展開を強力に推進」

eBay Japan(イーベイ・ジャパン)が運営する「Qoo10(キューテン)」は、流通総額において2023年も2桁成長を遂げた。主力のコスメに加えて、ファッションEC「MOVE(ムーブ)」が高成長している。食品などの商品カテゴリーも大きく伸びているという。2024年はオフライン戦略を強化し、リアルイベントとの連携を強化するだけではなく、自社でリアルの拠点も開設する計画だという。2024年も高い成長を計画している「Qoo10」の戦略について、マーケティング本部 本部長 金載敦氏に聞いた。

――2023年の実績は?

2023年3月ごろからコロナ禍が終わってきて、EC企業は苦労したと思う。「Qoo10」としても挑戦ではあったが、2023年も流通総額は2桁成長を実現している。

2023年も主力のコスメカテゴリーが成長を継続できた。2022年から注力しているファッションECサイト「MOVE」も2023年は大きく成長し、流通総額は前年比4~5倍に伸びている。

競合他社よりもインフルエンサーマーケティングやライブコマースなどに力を入れており、お客さまから良い反応をいただいている。

――ライブコマースはどのように強化しているのか?

ライブコマースは2021年9月からスタートしており、最初は週1回のペースだったが、最近は毎日のように実施している。「Qoo10」がすべて準備して実施する公式チャンネルもあれば、出店しているブランドが実施するブランドライブ、インフルエンサーが実施するインフルエンサーライブなどさまざまなチャンネルを組んでいる。

ブランドライブはすでに大きな実績を上げている。「メガ割」期間中に実施したライブでは、1分間に1000個売れたケースもある。「Qoo10」が認定した約100人のアンバサダーが出演するライブも結果が出始めている。2024年はもっと大きな成果を上げるだろう。

カテゴリーも最初はコスメが多かったが、最近はグルメやファッションなどを販売するライブコマースも増えている。

――商品を無料で配布できる「サンプルマーケット」の利用店舗は増えているのか?

利用店舗が増えている。今から申し込みすると2024年の第2四半期(4‐6月)に実施できるかどうか、待たないといけないほどの人気だ。1度参加した店舗のリピート利用が多い。

新商品の認知拡大や口コミ拡散、レビュー獲得といった目的で利用している。「サンプルマーケット」で口コミやレビューを獲得することで、その商品のコンバージョン率が向上している。

さらに日本では、商品を無料でもらったユーザーがその後、その商品を購入する確率が高いことも分かった。私は海外も含めてEC業界で25年の経験があり、そこで持っているデータよりも2、3倍高い確率だった。「サンプルマーケット」はただ、無料で商品を配るイベントで終わりではなく、購入促進につながる手法だとブランドに浸透してきている。

――「メガ割」などセール施策は、どのように強化しているのか?

年4回実施している「メガ割」の反響が大きく、その間の期間の流通総額をどう伸ばすかが課題だった。購入金額の20%分をポイントで還元する「メガポ」を2022年末から開始し、2023年はさまざまな挑戦をしてきた。

それを踏まえて、2024年から「メガポ」をさらに強化する策を検討している。「メガ割」の良さを取り入れた仕組みを検討しており、具体的には固まってからの発表となる。「メガ割」も当初は現在の10分の1にも満たない流通総額だった。「メガポ」も手ごたえは感じており、今後、大きく伸ばせると考えている。

――2023年12月に日用品などをそろえた「Qmart(キューマート)」を新設した。その狙いは?

「Qmart」は日用品やコスメ、食品などをまとめ買いできる。オフラインの店舗でいうとドラッグストアやスーパーマーケットを合わせたような商材を取り扱っている。日常的によく使う商品をまとめて注文することができるため、お得に購入することが可能だ。

これまで「メガ割」などのセールでコスメを買っていた方が、普段から「Qmart」で生活に必要な商品をご購入いただくことで、セールがない期間の流通総額を底上げしたいという考えもある。

――2024年に強化する取り組みは?

2024年はオフラインへのアプローチを強化しようと考えている。

2023年は韓国で話題のサマーフェス「WATERBOMB(ウォーターボム)」が日本に上陸し、チケットを「Qoo10」で販売した。2024年も「Qoo10」でチケットを独占販売する予定だ。

2023年11月に開催した、K‐POPの授賞式「MAMA AWARDS(ママアワード)」のチケットも独占販売した。2024年はチケット販売するイベントを増やすだけではなく、チケット販売以外にもイベントに合わせて「Qoo10」の利用をより促進できるような取り組みを考えている。

当社の独自の取り組みとしては、2024年2月にライブスタジオを渋谷にオープンする予定だ。スタジオからライブ配信を行い、外から観覧できるようにする。ポップアップ開催時には、お客さまを内部に入れるようにして、話題性のあるイベントにしたい。

7月ごろには、「メガブース」というコンベンション形式のイベントの開催を計画している。ブランドのオフィシャルブースを集めて、来場者にはさまざまな特典を提供したいと考えている。リアルで「Qoo10」を感じてもらえると思う。

2025年には、「メガフェス」というコンサート形式のイベントを主催したいと考えている。具体的な取り組みは順次、発表していくので期待してほしい。