2024年の年頭にあたり、Cloudflare Japan 執行役員社長の佐藤知成氏は年頭所感として、以下を発表した。

AIがもたらす変化に適応するインターネット環境を

新年明けましておめでとうございます。2024年を迎えるにあたり、皆様に謹んでご挨拶申し上げます。

Cloudflareは、創業の翌年となる2010年に東京にネットワークを拡張して以来、長年にわたって日本で事業を展開してきました。2020年には日本法人を設立、現在では国内4都市(東京、大阪、福岡、那覇)にPoP(Point of Presence)を展開し、日本の皆様に安全で快適なインターネット環境を提供しています。

そして2023年、私たちは「コネクティビティクラウド」という新たな概念を発表しました。コネクティビティクラウドとは、ますます複雑化する膨大なテクノロジーとデータを企業および組織が管理できるようにするクラウドネイティブサービスの統合されたプラットフォームであり、その重要性は、今後ますます高まっていくと考えております。

2023年は、ChatGPTをはじめとした生成AIがもたらす変化が全世界に影響を与えた年でした。セキュリティ対策においても、今後はAIを利用した攻撃に備える必要があります。ここで重要になるのが、企業のセキュリティ責任者がAIを理解するとともに、悪意のあるAIの使用事例を学び、攻撃に対抗するために必要なスキルを身につけられるかどうかということです。

2024年に市場に登場する次の最先端セキュリティテクノロジーは、ソーシャルメディアや現代メディアにおけるディープフェイクを識別し、排除するものでしょう。サイバー攻撃者の主な目標のひとつは、企業の信頼を失墜させることであり、これを達成するための最も有効な手段のひとつが、ディープフェイクを活用することです。ディープフェイクは何年も前から存在していましたが、現在は識別が非常に難しく、かつてないほどリアルなものになっています。

また、2024年の企業・組織の大きな関心事は、レジリエンスをいかに実現するかです。インターネットは重要インフラの柱となっており、企業・組織の責任者にとって、2024年はこれまで以上に危険な年となるでしょう。

より多くのゼロデイ攻撃、使用頻度が高いソフトウェアが内包する脆弱性、サプライチェーン問題、巧妙化するサイバー攻撃などが現実のものとなるにつれて、企業・組織は、接続の保護を維持するために警戒を強めています。ゼロデイなどのインシデント管理は、「パッチを適用すれば完了」というような単純なものではありません。セキュリティリーダーは、インシデント管理、パッチ適用、セキュリティ保護の進化を継続的なプロセスに転換する方向に意識を切り換えていくでしょう。

そして、開発者にとっては、AI活用が加速度的に進むにつれて、そのコストの増大も懸念すべき点です。コストが増加するにつれ、企業・組織は開発者にさらなる費用対効果を求めるようになるでしょう。フロントエンドエンジニアは、AI時代における自身の役割を再定義しなければなりません。

AIはコード生成に秀でているため、創造性とユニークなスキルをアピールすることがエンジニアにとってますます重要となります。それに失敗すれば、フロントエンドの役割が減り、見分けがつかないAI生成のウェブサイトが急増するリスクがあります。

クラウド環境も大きな変化を迎えています。現在、IT部門は、縮小する予算と限りなく複雑化するクラウド環境に圧迫されています。IT担当者が可能な限りベンダーを統合するというミッションに取り組む際には、クラウド費用の高騰はもはや無視できなくなります。クラウドが複雑化を極める中、接続性とオブザーバビリティ(可観測性)を促進するプラットフォームが必要不可欠になるでしょう。

Cloudflareは2024年も、世界中のあらゆる組織や個人、アプリケーション、ネットワークを高速かつ安全にするとともに複雑性やコストの削減を実現し、誰もが接続しやすく、安全で快適なインターネット環境を提供してまいります。

日本におきましては、拡大するサイバーセキュリティの脅威に対して、公的機関、パートナー各社とも密に連携し、日本の皆様が、安心、安全、かつ信頼性の高い環境としてインターネットをご利用いただけるように努めてまいります。本年も引き続き、開発者向けコミュニティの活性化にも取り組み、開発者にとって、より有益な情報の発信と提供を推進していく所存です。

本年も、Cloudflareが提供する最新技術の数々に、ご期待ください。