ネットワンシステムズは12月5日、事業戦略説明会を開催し、今年5月に開設したイノベーションセンター「netone valley」を披露した。同社はどのような狙いで「netone valley」を開設し、「netone valley」の内部はどのようになっているのだろうか。
競争優位性の核となる「netone valley」
初めに、CTOの篠浦文彦氏が、「netone valley」について説明した。同拠点は「新しい価値を創造し豊かな未来を切り拓くチャレンジの場」をコンセプトとしているが、同氏は「顧客、ベンダー、ネットワンでディスカッションをして、さまざまな可能性を生み出す共創の場」と語った。
「単にセミナーを聴講したり、デモを見たりするだけでなく、顧客とディスカッションをして、新しいことができないかと考えており、イノベーションが生まれることを期待している」(篠浦氏)
なお、現在の「netone valley」は完成形ではなく、常にコラボレーションをして、イノベーションを生むことで、進化を継続していくという。
篠浦氏は、同社がこれまでネットワークの可能性を追求することで、差別化の要素を作ってきたが、「これからも当社の競争優位性のコアはネットワーク」と語った。そして、今後は「netone valley」を核として、競争優位性を高めていくため、デジタルプラットフォームを構築している。
「デジタル化の波が来た時、どうあるべきかを、顧客やベンダーなどさまざまな人とディスカッションして、ネットワンバレーで試せる。ネットワンバレーをコアにしたケイパビリティを確立し、エコシステムのハブになりたい」(篠浦氏)
テクノロジーで顧客が抱えるインフラの課題解決に貢献
続いて、ビジネス開発本部長の藤田雄介氏が、同社が考えるテクノロジーによる貢献について説明した。同社は、顧客が抱えるインフラの課題解決に対して、「Productivity and Quality」「Simplify」「Creativity」という3つの側面から貢献することを目指しているという。
「Productivity and Quality」の実現に向けては、「デジタルおよびデータ活用によるサービス進化」と「生成AIの効果的活用による自社と顧客の生産性向上」に取り組む。
生成AIに関しては、エンジニアの生産性向上、サービス強化につなげるためトライアルを行ってきた、今月から全社で利用を開始したという。Microsoft Azure Open AIと自社のモデル「netone GPT」をハイブリッドで利用するそうだ。
そして、「Creativity」の場となるのが「netone valley」だ。藤田氏は、「netone valley」の活用例として、「情報収集と種の獲得」「アイデア創出と熟成」「アイデアの実証」「情報発信と認知向上」を紹介した。
例えば、INNOVATION SHOWCASEでは、情報収集と種の獲得につながるデモを体験できる。また、プロジェクトルームでは、アイデアの創出と熟成に取り組める。取材時には、AIロボットの共同研究を行っている慶応義塾大学の学生がプロジェクトルームで研究に取り組んでいた。
自由な発想やイノベーションを生む数々の仕掛け
それでは、「netone valley」の内部を紹介していこう。「netone valley」は1階~4階までが物流・検証エリアで、5階~屋上階までがワーキングエリアとなっている。
ひときわ目を引くのは、5階のロビーから上を見上げたアングルだろう。名称の「valley」を具現するように、7階から5階まで吹き抜けが作られている。
5階はクライアントや外部の企業とコラボレーションするエリアとネットワンの社員のワークエリアが設けられている。ワークエリアには、テント、デザインや漫画などクリエイティブな蔵書が並ぶライブラリーなど、新たな発想を後押ししてくれそうなファシリティがたくさん設けられている。
7階と屋上階は福利厚生エリアとして、ライフとワークが融合する場となっている。具体的には、社員食堂、フットサルなど球技もできる大きなホール、ビリヤード、休憩できる部屋などが設けられている。