NECは12月1日、メディア向けに「NEC Future Creation Hub」のプレスツアーを開催した。NEC Future Creation Hubは、NEC本社ビルの1階の大部分を使用して展開されているテクノロジーとビジネスの融合を体感できる施設だ。

施設内は、「ウェルカムゾーン」「イノベーションギャラリー」「シアター」「顧客体験変革」「業務変革」「社会とビジネスのイノベーション」「デジタルプラットフォーム変革」という7つのコーナーに分かれ、中央の入館ゲートを囲むようにして、コの字に造られている。

  • NEC Future Creation Hubのフロアマップ

    NEC Future Creation Hubのフロアマップ

この施設は、世界中から訪れる顧客とNECの社員が共に未来を描くためのカスタマーエクスペリエンスセンターとして、顧客に対してNECの技術や歴史を紹介し、理解の促進を進めるための場所となっているが、今回は筆者も特別にプレスツアーという形で施設内を案内していただいた。

最新の顔認証技術で施設内を探検

NEC Future Creation Hubに入ると真っ先に行われるのは、顔写真の登録だ。施設内はすべて顔認証技術での入退出になるため、廊下に出る時や部屋に入る時など、登録がないとできない仕組みになっている。

特にエントランスの顔認証には、NECの中でも高速で認証を行うことができるシステムが採用されており、立ち止まる必要もないほど瞬時に認証を行うことができる。

  • NECの中でも高速で認証を行うことができるシステムが採用されているエントランス

    NECの中でも高速で認証を行うことができるシステムが採用されているエントランス

このドアをウォークスルーで解錠すると、まずはウェルカムゾーンが広がっている。このウェルカムゾーンには、施設の概要説明や案内を行うための部屋が設置されており、その1つひとつの部屋もまた、先ほど登録した顔写真と紐づけされており、登録者以外は入れないようになっている。

  • それぞれの部屋が登録者と紐づいており別の部屋には入れない

    それぞれの部屋が登録者と紐づいており別の部屋には入れない

この部屋で説明を受けた後は、ついにNEC Future Creation Hubの中に出発だ。

最初に訪れるイノベーションギャラリーは、NECの歴史や事業を学ぶことができるゾーンとなっている。NECがメインで行っているパソコン事業の歴史を知ることができるのはもちろん、同社の行う海底ケーブルプロジェクトのことや宇宙開発事業のことまで、幅広い業務内容が紹介される。

  • イノベーションギャラリー内

    イノベーションギャラリー内

特に海底ケーブル事業に関してのブースでは、実際の海底ケーブルや光直接増幅方式の海底中継器(光ファイバ内で減衰した光信号を増幅する機器)が展示されており、間近で見ることができる。

  • 光直接増幅方式の海底中継器

    光直接増幅方式の海底中継器

イノベーションギャラリーを抜けると、長い廊下が現れる。この廊下部分は普段から社員の往来がよくある場所だそうで、ツアー中は社員が邪魔してしまわないように、とある工夫がなされている。

それが、廊下のライティングだ。ツアーの最中はこの廊下の地面に、動きのあるライティングが投影されており、導線確保の役割を果たしているのだ。

  • ツアー中は廊下がライティングされる

    ツアー中は廊下がライティングされる

100人を一気に顔認証できる「ゲートレス生体認証」

廊下を抜けると、シアターと顧客体験変革のゾーンに突入する。このゾーンでは、映像を通じて、NECの商品にかける想いや実際の先端事例を観ることができる。

幅広い事業を展開しているNECには、さまざまな業種の顧客が訪れるそうで、その顧客の業界や企業の特徴などを踏まえて、流す映像は変えているという。

  • 顧客体験変革エリア

    顧客体験変革エリア

この2つを通り過ぎると、続いて見えてくるのが、業務変革・社会とビジネスのイノベーション・デジタルプラットフォーム変革という3つの展示ブースだ。

ここでは、NECの最新の技術から開発中の参考出展まで、さまざまな展示が行われている。2024年問題に向けた物流の人手不足を解消するソリューションや施設内でも活用されている顔認証技術を活用した家の鍵の開閉技術など、多くの最新技術を体験できる。

  • 物流問題にアプローチする技術の紹介ブース

    物流問題にアプローチする技術の紹介ブース

参考出展を扱うブースでは、筆者が10月に訪れたCEATEC 2023でも紹介した顔・虹彩マルチモーダル生体認証ソリューションの展示も行われていた。

このようにさまざまな展示が行われているこのゾーンだが、筆者が最も目を引かれたのは、大人数を一気に顔認証することができる「ゲートレス生体認証」だ。

この技術は、顔認証技術と人物照合技術を組み合わせたもので、あらかじめ設定した入場エリア内のカメラ映像から同一人物を追跡し、顔を捉えた時点で顔認証することで多人数のリアルタイムな認証が可能となっている。

通常、上からのカメラでの顔認証は精度が落ちてしまうと言われているが、NECの技術では精度は維持したまま、約100人を一気に認証することが可能となっている。テーマパークやオフィス・工場などのような大人数が集まる場所に設置することで、ゲートの混雑を避ける狙いがあるそうだ。

  • ゲートレス生体認証

    ゲートレス生体認証

今回は、NECのカスタマーエクスペリエンスセンターであるNEC Future Creation Hubを紹介した。創業から124年を迎え、ますます進化を続けるNECの活躍から目が離せない。