日立製作所(日立)は11月30日、環境省の請負事業として、アジア太平洋地域をはじめとする開発途上国での利用を想定した浸水予測Webサービス「FloodS」を構築し、同日より環境省が無償で提供を開始すると発表した。
同サービスは、河川氾濫、降雨、高潮による浸水状況の時間変化をシミュレーションし、Webブラウザの地図上に予測結果を表示するもの。
気候変動に脆弱なアジア・太平洋諸国などの行政官向けに提供し、水文(水の動きやそれに伴うさまざまな現象)の専門知識を持たないユーザーであっても、直感的な操作で浸水シミュレーションができるとしている。同サービスにより、開発途上国における気候変動による浸水リスクの把握や気候変動への適応策の立案を支援する考えだ。
既存の予測ツールは、大半が専門技術者向けで高性能なパソコンや膨大な地形データを準備する必要があるが、同サービスはシミュレーションしたい浸水リスク(河川氾濫・降雨・高潮)に応じて水深や降雨量などの条件を入力するだけで、Web上でリアルタイムに地球全域の予測結果を見ることができる。また、盛土、トンネルや堤防などの対策を講じた場合のシミュレーションも可能。
特に過去20年以内に大規模な河川災害が発生した地域、高潮や今後の海面上昇による浸水の発生リスクが高い地域については、より精緻なモデルを導入しているといい、詳細なシミュレーションを実施できる。全世界の河川流域や沿岸域でシミュレーションが可能だ。
近年、気候変動により引き起こされる豪雨、海面上昇などによる浸水が世界中で問題となっている。アジア太平洋地域をはじめとした多くの開発途上国においても、浸水リスクの把握と適応策の検討、実施が喫緊の課題となっている。