残業が多い、休暇が少ないに加えて、賃金も他国より低くなってきた日本。ワークライフバランスとなると高い評価は望めない。実際、Remoteのランキングでは60カ国中38位だ。トップのニュージーランドとは31ポイントの差がある。

ニュージーランドと日本の違い

まずはランキングを見てみよう。Remoteが作成した「Global Life-Work Balance Index」ではGDPが高い世界60カ国の首都について、ワークライフバランスの観点からスコアをつけている。

スコアは、(1)法定年次休暇、(2)病気・疾病時の最低法定休暇の取得率、(3)有給の出産休暇および支給率、(4)最低賃金、(5)ヘルスケアシステム、(6)幸福度、(7)週平均労働時間、(8)LGPTQ+のインクルーシブ度などの指標を考慮してつけられている。

なお注意点として、(4)最低賃金は、年間の最低賃金を52週で割り、これを標準労働時間の長さで割った数字で、(7)はフルタイムだけでなくあらゆる種類の仕事と雇用形態が含まれている。

1位のニュージーランド(ウェリントン)は、(1)が32日、(2)が80%、(3)が26週・毎週177ドル、(4)が15.04ドル、(5)が国民皆保険制度、(6)が7.2、(7)26.3時間、(8)78となり、79.35のスコアを出した。

38位の日本(東京)の数値を見てみよう。(1)26日、(2)測定なし、(3)14週・取得率67%、(4)7.77ドル、(5)国民皆保険制度、(6)6.04、(7)30.7時間、(8)64と、すべてニュージーランドを下回った。スコアは48.13。

日本の(4)最低賃金が、1位ニュージーランドの半分ということにショックを覚えるが、日本より若干高い(7.96ドル)スペイン(マドリード)はワークライフバランスで見事2位に輝いている。(1)36日、(3)16週・取得率100%、(6)6.48、(7)25.9時間、(8)84でスコアは75.55だ。

また、最低賃金が1ドル代(1.28ドル)のブラジル(ブラジリア)は10位、(2)の100%、(3)が17週・取得率100%など、賃金が高くなくても権利が保障され、人々がその権利をしっかり享受している様子が伺える。

お隣の韓国は、(1)30日、(2)60%、(3)12週・取得率84.1%、(4)10.09ドル、(5)国民皆保険制度、(6)5.94、(7)測定なし、(8)54。スコアは52.45で、日本より6ランク高い32位だ。

上位を占める欧州との差

上位を占めたのは欧州。4位のオーストラリア(キャンベラ)、9位カナダ(オタワ)、10位ブラジル以外のトップ10は、欧州の国々が占めている。各指標を見ていると、労働時間が短め、休暇は多め、産休などの制度があり取得率も高いと言える。

スウェーデンでは、子供が生まれると(養子縁組含む)合計480日の有給育休を取る権利がある。もちろん、父・母ともに取得できる。

ちなみに、米国(ワシントンD.C.)はスコア37.52で53位、中国(北京)は同40.89で47位。ともに経済大国ではあるが、Remoteのワークライフバランススコアは低い。

Remoteの調査を紹介したInsider Monkeyによると、半数近くがワークライフバランスが良くないと家族関係に悪い影響が出ると回答しており、37%が身体および精神面の健康に影響を及ぼすと回答しているという。

男女で価値観が異なる傾向も示唆している。Gallupの調査では、仕事を選択する上でワークライフバランスと自分の健康を重要な要因と考える比率は、女性が69%、男性は58%だったという。

Remoteのランキングからは、日本はワークライフバランスという点でまだまだ改善すべき点があると言えそうだ。