米ウィーワークが破産 ソフトバンクGに痛手か?

米シェアオフィス「ウィーワーク」が日本の民事再生法に相当する連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請した。オフィス需要が急減し、資金繰りが急速に悪化していた。ウィーワークに出資するソフトバンクグループ(SBG)には痛手となりそうだ。

 ウィーワークは2010年創業の新興企業。複数の企業や個人がオフィスを共有し、都心の一等地に仕事場を構えられることから、スタートアップ企業の経営者らを中心に利用が広がり急成長を遂げていた。今年6月末時点で日米欧など、39カ国の777カ所にシェアオフィスを展開している。

 ただ、ウィーワークは近年、厳しい逆風にさらされている。

不透明な経営状況が発覚し、新規上場をいったん延期。SBGが1兆円の支援策を講じて経営再建を図っていたが、新型コロナウイルス感染のまん延によるロックダウンなどが追い打ちを掛け、会員数が急減した。

 ウィーワークの23年4―6月期決算は、純損益が3億4900万ドルの赤字(約520億円)。今年8月には、赤字から抜け出せず手元現金の確保が困難な状況などを踏まえ、事業継続に重大な疑義が生じていると公表していた。

 社債の利払いが遅れていることが破産検討の引き金になった。支払期日を再延期することで債権者と合意したものの、抜本的な解決とはならなかった。

 大規模な支援策を打ち出してきたSBGの孫正義会長兼社長は今年6月の定時株主総会で、「ウィーワークに最初に訪問してほれ込んでしまった。(投資は)間違った判断だからやめるべきだと何度も何人から忠告を受けた」と、自らの責任を認めた。

 英半導体設計会社アームの上場で一息ついているが、ウィーワークの破綻によって損失が生じれば、SBGの業績に影響を与える可能性もある。全ての投資が成功するわけではないが、周囲の助言を受け入れなかった孫氏はどう釈明するのか。経営者としての説明責任が改めて問われる。

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