クラウド型統合セキュリティプラットフォームを提供しているクラウドストライクの主要な顧客はこれまで大規模企業だった。しかしここにきて、中堅・中小企業(SMB)にターゲットを拡大している。その狙いは何か。CrowdStrike CBO(最高ビジネス責任者)のダニエル・バーナード氏に話を聞いた。

  • CrowdStrike CBO(最高ビジネス責任者) ダニエル・バーナード氏

SMBに最適なセキュリティサービスを提供

初めにバーナード氏は、「当社の製品はFortune 100に選ばれている100社のうち60社が当社の製品を使っている」として、同社の強みについて、次のように語った。

「当社の製品が選ばれる理由は3つある。1つは、AIをはじめとした技術が優れているからだ。プロアクティブに対応できる点が評価されている。2つ目の理由は、クラウドベースのアーキテクチャで、エージェントが軽量な点だ。これらを組み合わせることで、管理が容易になる。3つ目の理由は、シングルエージェントによるアーキテクチャだ」

同社は、エージェントから収集した脅威のデータをモデルの学習をしている。バーナード氏は「最近、AIが関心を集めているが、われわれは以前からAIに取り組んできた」と述べた。

  • CrowdStrikeのプラットフォームの構造

バーナード氏は、「当社はこれまでエンタープライズに主眼を置いてきたが、エンタープライズ向けのオファリングの一部はSMBの問題を解決できる。一方、SMBは実装が簡単で、セキュリティ侵害を防ぐことができるセキュリティソリューションを使いたいと思っているが、そのようなソリューションはこれまでなかった」と語り、同社こそ、SMBが求めているセキュリティソリューションを提供できるとアピールした。

SMB向けサービス「FALCON GO」と「FALCON PRO」

バーナード氏は、SMBのニーズに応える同社のセキュリティソリューションとして、「FALCON GO」とFALCON PRO」を紹介した。両ソリューションは、SMBがサイバーセキュリティの脅威を防止・検出・対応することを支援するために設計されたもので、従業員数が100人以下の企業を対象としている。

「FALCON GO」はアンチウイルスとデバイスコントロールを提供し、「FALCON PRO」はさらに統合型脅威インテリジェンスとファイアウォール管理を提供する。

バーナード氏は、「SMBが欲しい機能はエンタープライズが欲しい機能と異なる。われわれはエンタープライズが使ってきたテクノロジーをパッケージとしてまとめて、SMBが使いやすい形で提供する」と説明した。

IT管理者がいないSMBでも利用できるよう、「FALCON GO/PRO」はGUIがシンプルで容易に操作できる作りになっている。例えば、ポリシーはワンクリックで設定できるという。

バーナード氏は、「SMBが使っている製品はレガシーであり、AIのメリットを受けておらず、セキュリティの侵害を受けている。そんなSMBの実態を変えたい」と熱く語っていた。

新たなパートナーと共にサイバーセキュリティの変革を起こす

外資のITベンダーの場合、製品の販売において国内のITベンダーと提携するケースが一般的で、クラウドストライクもその例に漏れない。

エンタープライズビジネスのパートナーとしては、マクニカ、ラック 、ネットワールドなどと連携してきたが、SMBビジネスのパートナーとしては、大塚商会やリコーと連携しているという。

バーナード氏は、「パートナーもビジネスチャンスを認識しており、これからも新しいパートナーを開拓する。パートナーと協力することで、エンタープライズ市場で起こしたサイバーセキュリティの変革をSMB市場でも起こす」と、意欲を見せていた。

さらにバーナード氏は、SMBはサイバーセキュリティにおいて深刻な状況にあるとして、次のように語った。

「サイバーセキュリティのパンデミックが起きた場合、あらゆる規模の企業がその影響を受け、病にかかる。しかし、SMBは病に対する治療薬を持っておらず、3社に2社がインシデントの影響を受けている。そして、SMBがランサムウェア攻撃を受けた場合、コストや風評被害によって企業として終わってしまう可能性がある。われわれは、すべての規模の企業に対し、解決策を提供していく」

そして、「サイバーセキュリティは理解が難しい。だから、シンプルに伝えていくし、そこにチャンスがある。われわれにはインテリジェンス、テクノロジー、ブランドがある」と、バーナード氏はSMBビジネスに対する自信を見せていた。