兵庫県養父市と日立製作所は11月13日、中山間地域が抱える高齢化や過疎化などの課題を解決するため、マイナンバーカードを用いた市民向けサービスの創出をめざした「マイナンバーカードデジタルパスポート化事業」の取り組みを開始することを発表した。
養父市と日立は2022年度にサービス間のデータ連携を実現する「データ連携基盤」を構築し、市役所から離れた場所の住民の利便性向上を図る「遠隔行政窓口」のサービスを2023年5月から開始した。
養父市のマイナンバーカード保有率90.9%という強みを生かし、今回新たに、市民が市のサービスを円滑に受けるパスポートとしてマイナンバーカードを活用できる仕組みをつくり、サービス間でのパーソナルデータ連携を可能にする「マイナンバーカードデジタルパスポート化事業」に取り組む。
同事業では、「パーソナルデータ連携基盤」を構築し、マイナンバーカードや養父市が独自で発行する「やっぷるカード(ID)」を活用した市民向けサービスの創出を推進する。同基盤は、LGWAN-ASPサービス内にある養父市の個人情報管理サーバーから、パーソナルデータのみを取り出し、サービス間で連携可能とするもので、市民が自身のパーソナルデータの提供先を設定できる同意管理機能なども提供する。
同基盤を用いたサービス拡充の最初の取り組みとして、時間や場所にとらわれないオンライン投票選挙の実現をめざす「オンライン投票選挙」や、 避難所名簿や避難所への入退管理をデジタル化し、災害時はタイムリーに官民で情報連携を平時においても地域イベントなどで利用可能な「避難所管理システム」という2つの市民向けサービスを創出するという。
今後、同基盤を活用し、養父市の多種多様なサービス間での安心・安全なパーソナルデータの連携を可能にすることで、多くの市民が有するマイナンバーカードを用いたデジタルサービスの拡充を進め、市民の利便性向上をめざすとしている。