会計ソフト大手のfreeeは11月1日、会計仕訳後の支払業務を効率化する新サービス「freee支払」を同15日より提供開始すると発表した。会計ソフト「freee会計」を利用しているユーザーはインボイス(適格請求書)の発行と受領だけでなく、新サービスにより売り手への振込指示・実行までをfreee会計上でできるようになる。

  • 「freee支払」サービス画面イメージ

    「freee支払」サービス画面イメージ

具体的には、freee会計のファイルボックス機能に請求書をスキャンして取り込むことで、振込申請を作成することが可能。振込申請の内容に対するAI(人工知能)技術によるアラートを活用することで、口座番号の入力ミスなどを防ぎ、振込から消込み作業までを効率的に行うことができる。

1日に開かれた記者発表会に登壇した常務執行役員 支出管理プロダクトCEOの花井一寛氏は、「当社はこれまで電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を実現するプロダクトをリリースしてきた。しかし、支出管理業務において、電子化や会計仕訳の後に『支払い』という重要な業務がある。法人向けクレジットカードで支払い業務を支援してきたが、今後は取引金額の大きい『銀行振込』にも対応していく」と説明した。

  • freee 常務執行役員 支出管理プロダクトCEOの花井一寛氏

    freee 常務執行役員 支出管理プロダクトCEOの花井一寛氏

freee支払による振込手数料は一律220円。他行への振込手数料も金額問わず220円で「業界最安水準だ」(花井氏)という。freeeからの振込機能が強みだといい、データが連携同期しているため、請求書の受取から振込までfreeeだけで完結する。

  • 振込手数料は一律220円

    振込手数料は一律220円

また、振込内容をAIが自動チェックしてくれる点も特徴だ。不正な資金流出や振込依頼の抜け漏れを防ぐために、支払明細のチェック作業に多くの時間を費やしている企業は少なくない。freeeの調べによると、「すべての明細の振込先口座や金額のチェックを実施する」といった旧来の業務スタイルでは、60件の銀行振込作業に1時間以上かかってしまうのが一般的だという。一方、freee支払の場合は、「合計5分で完結し作業量を92%削減できる」(花井氏)としている。

  • 支払明細 AI自動チェック機能

    支払明細 AI自動チェック機能

  • 銀行振込にかかる作業時間を92%に削減できるという

    銀行振込にかかる作業時間を92%に削減できるという

またfreee支払では、従来から提供している法人向けクレジットカード「freeeカード Unlimited」を含めた支払業務も効率化できるようになる。11月30日から同クレジットカードを利用する事業者を対象に、バーチャルカードを即時発行できる機能も提供する予定だ。

  • バーチャルカードの提供を11月30日より開始

    バーチャルカードの提供を11月30日より開始

利用先ごとにバーチャルカードを発行して、限度額を設定することが可能。使いすぎの防止や予算管理につながるとしている。またバーチャルカードごとに、部門や用途などを設定することで仕訳する際に使途もすぐに特定できる。「何があっても紛失しない誤用・不正利用を防ぐ仕組みを実現していく」と花井氏は補足した。

さらに同社はクレジットカードの利用を後押しするため、freeeは2023年12月決済分(12月1日~12月31日)を対象にポイント還元を予定している。。特にバーチャルカードのユーザーには還元率を引き上げ、最1000大15%のポイントを還元する予定。付与されたポイントは、1ポイント1円としてfreeeサービスの利用料に充当することが可能だ。