先日、米NetApp(ネットアップ)はラスベガスで年次カンファレンス「NetApp INSIGHT 2023」を開催した。本稿では2日目の基調講演で発表された製品・サービス群の一部を紹介する。
SANフラッシュストレージ「NetApp ASA Cシリーズ」
まずは、SANに特化したフラッシュストレージ「NetApp ASA Cシリーズ」だ。今年6月にもパフォーマンスを要求するワークロード向けの「ASA Aシリーズ」を発表しているが、Cシリーズは大容量のワークロード向けでC250、C400、C800の3モデルを揃えた。
説明に立った米NetApp CPO(Chief Product Officer:最高製品責任者)のHarv Bhela氏は「エンタープライズクラスのストレージポートフォリオのアップデートとなり、当社はデータ管理における変革時代に向けて準備しています。オンプレミスと主要なパブリッククラウドにわたる当社のポートフォリオは、企業の進化するニーズを満たし、シンプルさとコスト低減、セキュリティ、サステナビリティを提供します」と述べた。
C250は物理容量122TB~734TB、最大有効容量17.5PB、サイズは2U(24個の内蔵SSDスロット)、C400は物理容量122TB~1.46PB、最大有効容量35.5PB、サイズは4U、C800は物理容量182TB~3.7PB、最大有効容量88PB、サイズは4U(48個の内蔵SSDスロット)。
また、ストレージのスムーズな移行に向けては、既存アーキテクチャの評価を含む事前のソリューション設計評価、データ移行、ソフトウェアライセンスとサービス、または移行期間中の3カ月間のNetAppストレージのサポートとトレーニングワークショップなど、さまざまなサービスを追加費用なしで利用できるという。
ASA Aシリーズと同じく「ランサムウェアリカバリ保障プログラム」「99.9999%データ可用性保証プログラム」「ストレージ容量効率化保証プログラム」などのプログラムの対象となる。
また、統合コントロールプレーン「NetApp BlueXP」に直接統合されたVMware向けのディザスタリカバリ(DR)ソリューションのパブリックプレビューも発表。
オンプレミスおよび主要なパブリッククラウドで VMwareインフラストラクチャで使用できるストレージを提供するとともに、オンプレミスからクラウドまでのDR用の単一ソリューションを提供し、スタンバイDRインフラストラクチャを提供するコストを最小限に抑えることができるという。
AIへの対応とランサムウェアプログラムの拡大
続いて、Bhela氏は「顧客にとって2つの大きな混乱があります。AIの機会とランサムウェアの脅威です」と話し、関連するサービス・ソリューションを紹介した。
AI関連については従来からNVIDIAと取り組みを進めているAI向けのデータ管理を行う「ONTAP AI」について触れられた。ONTAP AIは、AI向けシステム「NVIDIA DGX」を活用しており、大規模出0タを処理し、AIなどのワークロードを高速化することができる。今回、「AFF Cシリーズ」が対象に含まれることになった。
一方、上記のランサムウェアリカバリ保障プログラムは、その対象が拡大されたことをアナウンス。同プログラムは、ランサムウェア攻撃が発生した場合のスナップショットデータの回復が保証され、同社またはそのパートナーの支援でデータコピーを回復できない場合には補償が提供されるというものだ。
サブスクリプションサービス「NetApp Keystone」で以前から提供しているオンプレミスとクラウドにおいて、データ自動階層化、オーバープロビジョニングのキャンセルにより、持続性などを保証して企業がCO2排出量を削減するのに役立つプログラム「持続可能性SLA」で利用可能になり、今後3カ月以内の提供を目指し、プレビューを進めている。
また、同社ストレージの「FAS」、AFF Cシリーズにもランサムウェアリカバリ保障プログラムが適用されるという。