2025年4月13 日から10月13日まで、大阪 夢洲で開催される「2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)」。2005年に開催された「愛・地球博」以来、20年ぶりに日本で開催される万国博覧会として注目を集めているのはご存じの通りだ。
10月4日に開催された第1回パビリオン構想発表会では、同万博にパビリオン出展する民間企業13社のうち7社によるプレゼンテーションが行われたほか、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーの落合陽一氏をファシリテーターに迎えたトークセッションが実施された。
本稿では、トークセッションの模様を振り返る。
「なぜ?」「どうして?」- 落合氏から飛び出す率直な質問
-
左から、日本電信電話執行役員研究開発 マーケティング本部研究企画部門長 木下真吾氏、電気事業連合会 大阪・関西万博推進室室長 岡田康伸氏、住友 EXPO2025 推進委員会 事務局長 西條浩史氏、パナソニック ホールディングス総合プロデューサー 原口雄一郎氏
落合氏:本日はよろしくお願いします。皆さんを代表してバチバチと聞いていきたいですね。
まずは日本電信電話(以下、NTT)からお話を伺いましょう。世の中にはさまざまな素晴らしいイベントがある中、なぜ万博へ出展されるのでしょう?
木下氏:万博には定義があり、その定義の実現にNTTが貢献できると思ったからです。国際博覧会条約の中にある「文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段」という部分に私はビビっと来ました。
人類が利用できる手段はたくさんありますが、テクノロジーが最もわかりやすく、影響力を持っているのではないかと感じます。我々は、昔から培ってきた通信技術を使って、テクノロジーで未来を語りたいと思います。
落合氏:1970年の大阪万博の時、(NTTが出展した)コードレスフォンに当時の子供たちが未来を感じたそうです。今回も世界の人たちがびっくりするような日本のテクノロジーが観られるということですね。
電気事業連合会のパビリオンでは「タマゴ」をコンセプトにしていますが、どうしてタマゴなのでしょう。あのタマゴには何が詰まっているんでしょうか。
岡田氏:まさに、インフラ企業からはタマゴのイメージはあまり連想されないでしょう。私自身、電力館のパビリオンは真面目なイメージを持っていました。そこで、今回はエンターテインメント性を追求したメッセージを打ち出していきます。未来を切り開くエネルギーの可能性をタマゴに見立てて、皆さんに感じてもらいたいという思いがあります。
落合氏:どのパビリオンにもいろいろなキーメッセージが詰まっていますね。住友EXPO2025推進委員会の皆さまは、パビリオンでの住友らしさをどのように表現していきますか?
西條氏:難しい質問ですが、我々は来場者の皆さまに「(自社の)概念を知らしめる」ことはしません。人間の時間軸では感じ取れないような、数百年、数千年単位の森の姿を感じて頂きたいです。それを通じて、自然や地球、環境問題を考えるきっかけにしていただきたいですね。
落合氏:歴史の重みを感じられそうなパビリオンですね。パナソニックホールディングスは「協創」をテーマに掲げていますが、どんな意味を込めているのでしょう?
原口氏:協創の意味は2つあると考えています。1つ目はパビリオンを作るための協創です。半年間しか使われない建物をいかに環境へ負荷をかけずに建設できるか、そこに多くの人々の叡智を結集させて取り組んでいます。2つ目は未来を作る協創です。1970年の万博では、弊社はタイムカプセルを出展しました。文明の軌跡を集めて5000年後に残していこうという取り組みでしたね。今回は、子供たちの描く未来が実現するまでの軌跡を残したいです。
落合氏:持続可能性をパナソニックが軸になってワンチームで作っていくのですね。では、三菱大阪・関西万博総合委員会には少しハードな質問を考えてみたのですが……。
命を巡る壮大な旅、心の山、オバケ - コンセプトに込められた“思い”
落合氏:前回の愛知万博で、「もし月がなかったら」をテーマにパビリオンを出展されていましたよね。今回は宇宙全体というところにコンセプトが広がっていったように思いますが、骨子になるような強いメッセージがあるんでしょうか。
小谷野氏:前回以上に面白く、わかりやすいパビリオンを作ります。まだ、詳細な中身は鋭意制作中なので明かせませんが、深海から宇宙までの命を巡る壮大な旅を、リアルでは体験できない旅を考えております。
落合氏:簡単に表現するのは難しいですが、とにかくヤバいってことですね。玉山デジタルテックはコンセプトを「山」にしてパビリオンを作られますね。数ある生態系の中から山をチョイスしたのはなぜですか?
田尻氏:山は高い目標を与える存在であり、勇気や希望を与える存在でもあると思っています。当時に、寄り添ってくれるような存在であるとも考えています。人々の心の中に、それぞれ山のような存在があるんじゃないかと思って、「心の山」をコンセプトに設定しました。
落合氏:多様性が見える素敵なコンセプトですね。日本ガス協会はカーボンニュートラル×オバケと言う最高の組み合わせなのですが、両者は万博にどう関係してくるのでしょう。
石野氏:ガスパビリオンは「化けろ、未来」をコンセプトにしています。これは未来に向かって、大切な人や地球のために意識・行動を大きく変えることを“化ける”と表現しています。
この“化ける”を象徴した存在がオバケの「ミッチー」です。一方でカーボンニュートラルは(万博のテーマにもなっている)「いのち輝く未来社会」の中で実現を目指すべきものだと捉えていて、我々ガス業界も実現に向けて貢献したいです。
落合氏から見た日本のパビリオンの“イメージ”
落合氏:各パビリオンの構想を見ていると、似通っている印象を受ける人もいるかもしれないなと思います。ただ、それは日本の文化の中で考えていくと、どれも日本っぽくなるのは当たり前で。諸外国と比べれば、日本はかなり特徴的だと私は感じています。
(各パビリオンの構想を見て)日本が考える命や生態系のイメージは、統制が取れているなと思いました。とても面白いじゃないですか。我々からすれば、生態系は、命の在り方の1つです。それを出展する各企業が解釈した姿として、(各パビリオンは)来場者にとって非常に理解しやすいと思いました。諸外国のパビリオンと混ざると、日本のパビリオンのコンセプトが活きてくるはずです。