東京商工リサーチは10月16日、2024年4月にこれまで適用が猶予されていた建設業や運輸業などで時間外労働時間の上限規制が始まる 「2024年問題」に関するアンケート調査の結果を発表した。

同調査は、2023年10月2日~10日にインターネットを介して行われ、有効回答5,151社を集計・分析したもの。

結果、2024年問題で、「マイナス」の影響が生じるとみている企業が6割に達することがわかった。産業別で見ると、トップが卸売業の73.0%で、規制対象となる建設業(同69.3%)、運輸業(同72.7%)を上回ったという。

10産業のうち、「マイナス」と回答した企業が半数を超えたのは6産業。「マイナス」と回答した企業の割合が最も低い産業は、情報通信業(21.3%)だったという。

一方、「プラス」と回答した企業の割合が最も高かったのは、規制の対象となる運輸業(8.5%)。悪い面ばかりが報じられている「2024年問題」だが、長時間労働が常態化したドライバーの労働環境の改善につながる。こうした側面から「プラス」と捉える企業も散見されたとのこと。

  • 「2024年問題」が自社にもたらす影響 引用:東京商工リサーチ

業種別で、「マイナス」と回答した企業の割合が最も高かったのは、「食料品製造業」(86.8%)となった。食料品は、人手のかかるバラ積み貨物が多く、荷待ち時間や荷役時間が比較的長い。一方で、受注から納入までの期限が短く、ドライバーの1日あたりの労働時間が長くなりやすい。時間外労働の上限規制が適用されると、今まで残業で対応できていた配送量をさばくことが難しく、配送計画を見直す必要が出てくると同社は見ている。

「2024年問題」によるマイナスの影響としては、「物流・建設コスト増加による利益率の悪化」が67.9%(2,079社)と、全企業では最も高い結果となった。

  • 「2024年問題」がマイナスの影響をもたらすと回答した業種 引用:東京商工リサーチ