デル・テクノロジーズ(以下、デル)は10月13日、年次イベントである「Dell Technologies Forum 2023 - Japan」を東京都内のホテルで開催した。基調講演のステージに登場し、「もはやテクノロジーを活用したイノベーションは止まらない」と話を切り出したのは、日本法人の代表取締役社長である大塚俊彦氏だ。
同氏は、デジタルテクノロジーを活用したイノベーションに関する調査結果を引用しながら、国内外の現状について語った。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉がビジネスの現場で頻繫に聞こえるようになって久しい。先進的な技術を活用したシステムやビジネスの変革が、さまざまな業界で進められている。特に今年はChatGPTに代表される生成AIが広く使われるようになり、業務にAIを取り入れている例は挙げればきりがない。
しかしその一方で、同社が実施したイノベーションの意識に関する調査によると、「自社は革新的である、または非常に革新的である」と考えている日本企業は44%と半数に満たず、50%の企業は、イノベーションのパイプラインを考えると「今後3~5年のうちに後れを取るのではないかと懸念している」ことが明らかになったそうだ。
また、イノベーションの成熟度について質問すると、日本はグローバルと比較して「投資はほとんどなく、暫定的な計画」の状態である企業が多い結果となった。反対に「段階的な革新と計画」や「成熟したイノベーション計画、投資の実施」の状態にある企業は少ない。
こうした結果に対し、大塚氏は「言い換えれば、日本の企業はイノベーションに関してまだ発展できるポテンシャルがあるということ。必要なIT人材を確保しイノベーションを進められれば、そうでない企業と比較して2倍以上の速度でビジネスを成長させられる」と語り、笑顔を見せた。
実際にイノベーションを成熟させてすでに文化として取り入れている企業を調べると、「People」「Process」「technologys」の3つの軸が見えてきたそうだ。Peopleの観点では、人や組織の多様性を重視してさまざまな考え方を尊重し、成功や失敗の事例から学び成長できる組織が、イノベーションを前に進められているという。
Processで重要なのは「反復」だ。各企業のビジネスゴールに直結するイノベーションを定義しながら、それを反復するプロセスを定着させている組織が、実際にイノベーションを進めている。加えて、Technologysでは、テクノロジー戦略をビジネス戦略と直結させている企業ほど、イノベーションを推進しているとのことだ。
大塚氏は「皆様がイノベーションを実現できるよう、『未来の働き方』『マルチクラウド』『戦略的データ活用』『エッジ』『セキュリティ』の5つの領域を柱として、製品やソリューションの開発などに投資していく。お客様のデジタル変革を協力に支援していきたい」と語り、講演を結んだ。