大手食品メーカーのアサヒグループ食品とキユーピーは2023年冬にかけて、「免疫の維持」を表示する機能性表示食品を発売する。先行していたキリンホールディングスと、「免疫」の機能性表示食品EC市場で三つどもえの戦いとなる。差別化の決め手は、「内臓脂肪を減らす」や「鼻の不快感の軽減」といった、「免疫」にプラスアルファする機能性表示となりそうだ。
<アサヒグループ食品、「免疫ピース+(プラス)(L-92乳酸菌)」「免疫の維持」と「鼻の不快感軽減」>
食品メーカーのアサヒグループ食品は8月28日、「健康な人の免疫機能の維持」と「鼻の不快感の軽減」「一時的な精神的ストレスによる疲労感の緩和」を表示する機能性表示食品「免疫ピース+(プラス)」を発売した。史上2つ目の、「免疫」を表示する機能性関与成分である「L-92乳酸菌」を配合している。家族の体調管理をケアするママ世代を中心に、商品の認知を高めていく戦略だ。
「免疫ピース+」では、「L-92乳酸菌は、pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)の働きを助け、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています。ホコリやハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減することが報告されています」と、機能性を表示している。
「L-92乳酸菌」は、アサヒグループ食品の通販の主力商品「アレルケア」にも配合されている。「アレルケア」については、2004年の発売以降、累計2500万袋以上を販売してきた実績がある。
▲アサヒグループ食品 川原浩社長(中央)、ダイレクトマーケティング部 岩崎琢也部長(右)、マーケティング三部 大高聡子部長(左)
「L-92乳酸菌」は、カルピス由来の乳酸菌研究から生まれた独自の乳酸菌。同乳酸菌を含む「免疫ピース+」を継続的に飲むことは、冬場の体調管理のサポートや、春先の鼻の不快感のケアにつながりそうだ。
「免疫ピース+」は、アサヒグループ食品のECサイト「アサヒカルピスウェルネスショップ」で購入することができる。
アサヒグループ食品は9月9日にも、「L-92乳酸菌」を配合した機能性表示食品「ディアナチュラゴールド L-92乳酸菌&食物繊維」を発売していた。同商品のメインターゲットは、「ディアナチュラ」ブランドの、20~40代のユーザー。ドラッグストアなどで販売を行っている。
アサヒグループでは今後、「L-92乳酸菌」を配合した、複数のブランドの製品を、グループ横断で展開していく予定だという。グループ全体で、「わたしにピースな免疫ケア」というフレーズを使って訴求していくとしている。
<【インタビュー】ママインフルエンサー 小倉 美詠さん「手洗いが体調管理の基本」>
インスタグラムで約3万5000人のフォロワーを持つインフルエンサーで、PR会社のカラフルレインボーズ(本社神奈川県)の小倉美詠社長は、小学生の男の子2人のお母さんだ。会社経営やPRの仕事、PTA会長などを務めながら、夫も含めて家族4人の体調をケアしているという。「私の家族は病気になることが少ない。帰宅時の手洗いを徹底する習慣があるせいではないか」と話す小倉美詠さんに、家族や自分の体調管理について聞いた。
▲インフルエンサーで経営者の小倉美詠さん
――家族の体調管理については、どのように気を使っていますか?
私の子どもは小学校6年生と2年生の2人です。2人とも、日ごろから風邪をひくことは少なく、新型コロナに感染したこともありません。
何か特別なことをしているわけではありませんが、帰宅時の手洗いは徹底しています。基本的なことですが、徹底していることが、病気をしないことにつながっているのだと思っています。
というのも、子どもたちの友達が自宅に遊びに来た際に、手を洗わない子も少なくありません。私や息子が促して、手洗いをする子もいます。
夫も、結婚前はよく風邪をひいていましたが、結婚後はあまり風邪をひかなくなりました。手洗いをするのはもちろんですが、毎日湯船につかるようにもなりました。野菜を食べるようにもなっています。
コロナ禍で、帰宅時の手洗いの習慣がついた人も多いと思いますが、今後も続けた方が絶対にいいと思います。
――お子さんが病気になったことで、大事な用事をキャンセルせざるを得なくなったことはありますか?
ありますね。私はPTAの仕事をしていますから、子どもが熱を出して、PTAの会議に出席できなくなったことがあります。PRの仕事の打ち合わせができなくなったこともありました。
私の子どもたちは病気をしない方なので、そういったことは少ないのですが、子どもたちからは、友達について、「また○○君休みだったよ」という話を聞くこともあります。体が弱い人は、日ごろから「手洗いをする」「睡眠時間をしっかりとる」といったことを習慣化することが大事だと思います。
――小倉さんご自身の体調管理のコツは?
冬場の冷え対策もかねて、ショウガを意識的に取るようにしています。
発酵食品が、美容と健康に効果的と言われていますから、納豆とキムチも毎日食べるようにしています。豆腐にキムチとチーズをのせた「キムチ豆腐グラタン」がお気に入りで、よく作っています。レンジで3分で出来るのでお薦めです。
――「免疫の維持」の機能性表示食品があることは知っていますか?
コンビニやスーパーで目にすることが多いので、知っています。ここ数年で「免疫が大事!」という話を何度も聞いたので、同じ種類の商品を選ぶときに、「免疫」と書いてあれば、それを選ぶと思います。
「免疫」も含めて乳酸菌の商品は市場にあふれていますが、商品やブランドが持つ世界観やストーリーをきっかけに商品を選ぶ人が増えていると思います。
「免疫」も含めて乳酸菌の商品も最近よく目にするようになりましたが、商品やブランドが持つ世界観や商品に込められた想いなど、効用だけでなくストーリーをきっかけに商品を選ぶ人も増えていると思います。
<キリンホールディングス、「iMUSE(プラズマ乳酸菌)」「免疫ケア」+「内臓脂肪ダウン」>
キリンホールディングスは、「免疫の維持」を表示する機能性表示食品「iMUSE(イミューズ)」シリーズを展開している。通販のサプリメントでは、主力の「iMUSE 免疫ケアサプリ」のほか、「免疫ケア・内臓脂肪ダウン」も、全体をけん引する売り上げを上げているという。
「イミューズ」は、「プラズマ乳酸菌」を機能性関与成分とした、「免疫機能の維持に役立つ」を表示する機能性表示食品だ。20年に、「免疫」を表示する機能性表示食品として、初めて届け出が受理された。
▲「iMUSE 免疫ケアサプリ」
2022年に発売した、「iMUSE 免疫ケア・内臓脂肪ダウン」は、機能性関与成分として、「プラズマ乳酸菌」のほか、「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)」を配合している。
2023年1-6月の同商品の売り上げは、想定の2.5倍となったという。40~50代の男性が主要な顧客となっており、新規顧客は、オンラインを主体に獲得しているという。
キリンホールディングスでは、「免疫ケア・内臓脂肪ダウン」を主軸に、冬に向けて「iMUSE」シリーズの露出を増やしていく考えだという。
<キユーピー、「ディアレプラス(酢酸菌GK-1)」「免疫の維持」と「花粉による不快感ケア」>
食品メーカー大手のキユーピーでは4月、「酢酸菌GK-1」を配合し「免疫機能の維持」を表示する、サプリメントタイプの機能性表示食品「ディアレプラス」の届け出が受理された。キユーピーでは、これまで「花粉やほこりによる鼻の不快感を軽減する」を表示する機能性表示食品「ディアレ」を販売してきた。「ディアレ」をリニューアルする形で、「ディアレプラス」を23年冬に発売する予定だ。
「ディアレプラス」は、「本品には酢酸菌GK‐1(G.hansenii GK―1)が含まれます。酢酸菌GK―1は、pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働き掛け、健康な人の免疫機能の維持に役立つことと、花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減することが報告されています」と機能性を表示している。
▲「ディアレプラス」
キユーピーでは、「ディアレプラス」について、通販専用商品として展開していく計画だ。キユーピーグル―プで通販事業を展開するトウ・キユーピーが販売を行う予定だという。
キユーピーは、機能性原料であるについて「酢酸菌GK―1」について、機能性表示食品の原料として、別の食品メーカーなどにも供給していく考えだ。「免疫」の機能性が受理された4月以降、原料供給に関する問い合わせが増加しているという。